2013年11月29日

峰の雪(みねのゆき)|有限会社峰の雪酒造場

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 347蔵目

峰の雪(みねのゆき)|有限会社峰の雪酒造場

福島県喜多方市桜ヶ丘1丁目17番地
蔵元のサイト:http://minenoyuki.com/


酒名:峰の雪(みねのゆき)、花織(かおり) ■創業:昭和17年(1942年)4代 ■杜氏: 蔵元杜氏(諸派) ■仕込み水:軟水 ■訪問日:2013/11/29

代表銘柄
峰の雪 純米 醇
峰の雪 yamatoya’s zennai(ヤマトヤゼンナイ)
会津のはちみつ酒 美禄の森

峰の雪(みねのゆき) 有限会社峰の雪酒造場|外観
有限会社峰の雪酒造場は昭和17年に、佐藤信八氏が創業した現在で4代続く酒蔵です。

会津若松の酒蔵に生まれた信八氏は、喜多方にあった大和錦という蔵に婿入りされ、その大和錦から分家をするという形で昭和17年に現在の場所に誕生。

当時は大和錦第2工場という存在で、本家である大和錦は地元向けの酒を製造・販売し、こちらは東京向けに製造・販売していた「峰の雪」という酒を製造されていたそうです。

本家になる大和錦という蔵は、今から10代ほど前に大和川酒造から分家独立して出来た蔵とのこと。なので遠いルーツは1600年頃に奈良から製綿の技術を持って会津に移り住んできた綿商人のようです。

昭和30年に法人化し、有限会社峰の雪酒造場に社名変更。
大和錦の第2工場という存在から独立した蔵へと変化していきます。

写真の方は4代目蔵元、佐藤健信(けんしん)さん。
峰の雪(みねのゆき) 有限会社峰の雪酒造場|佐藤健信蔵元

峰の雪では東京に出荷する酒を専門に製造していたという経緯から今でも最も製造量が多いレギュラー酒(普通酒)は地元では殆ど販売しておらず東京を中心に出荷されているとのこと。

ただ普通酒の需要が年々減少しつつあり、それではいけない、と健信(けんしん)さんの代から特定名称酒の製造に着手。

健信さんは6年間、新潟の酒蔵で酒造りや営業等の仕事をされた後、2010年に蔵に帰って来られます。
その後、福島県の日本酒関係者の多くが通う清酒アカデミーに3年間通い2013年の3月に卒業。

一定期間、越後杜氏の下で酒造りをした実務経験があるため、越後杜氏組合に入る資格を持っているものの流派としては無所属。

現在は、峰の雪 純米吟醸、純米酒 醇、ヤマトヤゼンナイという名称の特定名称酒を地元を中心に製造・販売されています。

一般的には普通酒が地元で特定名称は首都圏、という蔵が多いのですが、峰の雪はその逆。
地元には特定名称酒、首都圏は普通酒が売れているという、珍しい現象が起きています。

峰の雪(みねのゆき) 有限会社峰の雪酒造場|商品

東京市場に酒を売っていたという経緯から、元々造られていた酒は淡麗辛口の酒だったそうです。

それに対し、今展開中の特定名称酒は「飲んで峰の雪とわかる酒」を目指されているとのことです。

健信さんは様々な日本酒を飲まれた結果、甘いお酒が好きだそうで、飲みやすい酒質が第一条件である中、「甘くて旨い酒」を造ることを目標とされているそうです。

お酒は嗜好品です。人それぞれ好みが違うものです。
10人が飲んで10人近くが美味しいと言ってくれる酒ではなく、10人が飲んで5人から美味しくないと思われても、一人がドハマりしてしまう酒。
そういう酒を造っていきたいとの事です。

写真は釜場。
峰の雪(みねのゆき) 有限会社峰の雪酒造場|釜場

写真は麹室。
峰の雪(みねのゆき) 有限会社峰の雪酒造場|麹室

写真は仕込み部屋。
峰の雪(みねのゆき) 有限会社峰の雪酒造場|仕込み部屋

写真は、はちみつを原料に醸造したミードと呼ばれる酒。
峰の雪(みねのゆき) 有限会社峰の雪酒造場|はちみつのお酒
峰の雪は日本酒以外に「ミード」と呼ばれる、はちみつを発酵した酒を製造されています。

これはリキュールではなくきちんと醗酵させて醸造しているお酒です。
ミードはクレオパトラの時代から製造されていた、と伝えられている世界最古のお酒です。

はちみつを水で薄めて、酵母を入れれば糖分は十分にあるため、発酵が始まるそうです。
アルコール度数は約10度。

オリを取るために上澄みだけを抜いてフィルターで濾すとの事。

5年前に製造を始められたそうで、同時期に石川県の天狗舞でもミードの醸造を開始。
その他にも高知県の菊水酒造が製造。判っている範囲では国内で3社しか造っていないそうです。

最後に訪問の証の記念撮影。
峰の雪(みねのゆき) 有限会社峰の雪酒造場|記念撮影
不思議な甘さがする酒、ミードに感心する吾郎。

最近、福島県から若手の酒蔵の台頭が目立っていますが、蔵に帰ってきて3年目という健信さんが造る峰の雪もそんな新進気鋭の一社。

今はまだ知られていない存在ですが、いずれ全国の地酒専門店で目にするような銘柄になるのは時間の問題かと思われます。
日本酒ファンの皆様、要注目のお酒です。




商品の購入・質問は峰の雪(みねのゆき)|有限会社峰の雪酒造場へお問い合わせ下さい。
TEL:0241-22-0431峰の雪、善内、花織、美禄の森醸造元有限会社峰の雪酒造場
ここに書かれているデータは筆者が訪問した時点の情報でございます。  

Posted by 佐野 吾郎 at 13:30TrackBack(0)福島県の酒蔵巡り

2013年11月29日

奈良萬(ならまん)|夢心酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 346蔵目

奈良萬(ならまん)|夢心酒造株式会社

福島県喜多方市字北町2932
蔵元のサイト:http://www.yumegokoro.com/index01.html


酒名:奈良萬(ならまん)、夢心(ゆめごころ) ■創業:明治10年(1877年)6代 ■杜氏:社員杜氏(諸派) ■仕込み水:軟水 ■訪問日:2013/11/29

代表銘柄
奈良萬 純米吟醸
奈良萬 純米生酒 無濾過生原酒
夢心 会津金印

奈良萬(ならまん) 夢心酒造株式会社|外観
夢心酒造株式会社は明治10年(1877年)に東海林萬之助(しょうじまんのすけ)氏が創業した6代続く酒蔵です。

萬之助氏は11代続いている東海林家の6代目で、家は土建業(今で言うゼネコン)のような仕事をされていたそうで、道を作った時に、代金は山など土地で頂いていたそうです。

そんなことから代々、土建業で得た土地を含め資金があり、明治の免許緩和の際に酒造免許を手に入れて酒造業に参入されたのではないかとのことです。

創業当時の屋号は「奈良屋」。
喜多方には奈良萬を含め大和川、香具山、大和錦など奈良に関する酒名の酒が多く、蔵元に屋号の由来を質問してみましたが、今ではわからないそうです。

後日、大和川酒造の9代目蔵元、佐藤彌右衛門氏にきいたところ、奈良の大和川沿いでは綿花の栽培と製法の技術を持った人々が住んでいて1600年代に奈良から会津へ移住してきた人がいたとのこと。
そういう人が複数いたのか、分家を続けて広がったのかはわかりませんが、喜多方に奈良にゆかりのある蔵元が多いことには、そういう背景があるようです。

現在の酒名「夢心」は酒造業を創業した萬之助氏の息子、萬次郎氏の時代に誕生した銘柄。
萬次郎氏の夢枕に神様が立って酒名に「夢心とつけなさい」と言われた、というのが酒名誕生の由来だそうです。

写真の方は6代目蔵元、東海林伸夫さん。
奈良萬(ならまん) 夢心酒造株式会社|蔵元
そして、もう一つの主力「奈良萬」は6代目蔵元の代に誕生した銘柄。

先代から学校卒業後は「2年間だけ自由にさせてやる」と言われ、写真が好きだった伸夫さんは写真関係の会社で働かれたそうです。
1995年、蔵に戻ってきた当時は普通酒を中心に約1万石を製造する蔵だったそうです。

しかし、 普通酒がどんどん縮小していく時代。
生き残るために、当時売れていた有名地酒などを参考に、きっちりと日本酒を販売する専門店に限定し出荷する商品、奈良萬を立ち上げます。

地酒業界が純米方向に流れつつあると感じ、奈良萬ブランドに関しては全量純米です。
地元向けの夢心ブランドと、限定流通の奈良萬の2つのブランドで展開されています。

写真は釜場。
奈良萬(ならまん) 夢心酒造株式会社|釜場

酒の造り手ですが、かつては越後杜氏が酒造りをされていたそうです。今はその流れを汲んだ社員によって造られています。

仕込み水は飯豊山(いいでさん)の伏流水。
扇状地である喜多方の地下を流れる飯豊山の伏流水は、100年かけて地下に染みこんだ軟水で、出来上がるお酒は自然とまろやかになるとのことです。

写真はKOS製麹機。
奈良萬(ならまん) 夢心酒造株式会社|KOS製麹機

写真は仕込み部屋を上から撮影したもの。
奈良萬(ならまん) 夢心酒造株式会社|仕込み部屋 上から

で、こちらは仕込み部屋を下から撮影。OSタンクが使用されています。
奈良萬(ならまん) 夢心酒造株式会社|仕込み部屋 下から
醸造設備は山形の酒蔵、大山が設計したOSタンク、KOS製麹機が使われていました。

造りのスタートは10月中旬からで、甑倒しは2月中旬。 3月には製造が終わり、年間で約2千石の酒を製造されているそうです。

酒造りに用いる米は奈良萬に関しては全て五百万石。
夢心も普通酒には地元のチヨニシキを用いますが、概ね地元産の五百万石が中心。
山田錦は殆ど使われないそうです。

というのは平成の初め頃、YK35(山田錦、9号酵母、35%精米)が鑑評会を席巻していた時代、夢心酒造では五百万石で3年連続全国新酒鑑評会で金賞を受賞した事があったそうです。

五百万石でも山田錦と同等の評価が得られるお酒を造ることが出来た自信から、地元産の五百万石を中心に用いられているとのことです。

特に奈良萬に関しては全量が五百万石。
他社では米違いによって酒のレパートリーを広げられている蔵が多いかと思われますが、奈良萬では製造手法を変えることでレパートリーの幅を広げています。

例えば火入れ方法や搾り方の違いで、生・おりがらみ・1回火入れビン貯蔵、生貯蔵、冷やおろしのような生詰め・2回火入れ。と一つの醪(もろみ)から6種類のお酒を造り分ける事が出来ます。

それぞれ味が異なるため、蔵元の話によると単一の米でも味のレパートリーを広げることが出来るそうです。

訪問の証の記念撮影。
奈良萬(ならまん) 夢心酒造株式会社|記念撮影
奈良萬を手に取り笑顔になる吾郎。

バラエティーに富んだ福島県の地酒の中、夢心酒造が目指すのは「本物の喜多方の酒」。
原材料は全て地元産、酵母も福島県で造られた「うつくしま夢酵母」、喜多方の水を用いた喜多方でしか醸すことが出来ない酒。

綺麗で、味わい、切れがあり、ずっと飲んでいられる酒。
華やかなお酒ではなく、穏やかな香りの食中酒。

喜多方・会津でお酒を売っているお店には、必ずと言って良い程夢心が並んでいます。
蔵元は地元では普通酒を一生懸命売っていき、県外には本物の喜多方の地酒を広めていきたいとのことです。

喜多方に沢山ある酒蔵の中でも、奈良萬は首都圏を始め全国の日本酒市場で名が知られるようになった存在です。
訪問して改めて思ったのですが、今度居酒屋などで見掛けた際は、食事と一緒にゆっくり楽しんでみたいと思いました。




商品の購入・質問は奈良萬(ならまん)|夢心酒造株式会社へお問い合わせ下さい。
TEL:0241-22-1266奈良萬、夢心醸造元夢心酒造株式会社
ここに書かれているデータは筆者が訪問した時点の情報でございます。  

Posted by 佐野 吾郎 at 10:00TrackBack(0)福島県の酒蔵巡り

2013年11月28日

蔵枠(くらしっく)|小原酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 345蔵目

蔵枠(くらしっく)|小原酒造株式会社

福島県喜多方市南町2844
蔵元のサイト:http://www.oharashuzo.co.jp/


酒名:蔵枠(くらしっく)、國光(こっこう) ■創業:享保2年(1717年)10代 ■杜氏:社員杜氏(諸派) ■仕込み水:軟水 ■訪問日:2013/11/28

代表銘柄
蔵粋 アマデウス 特別純米酒
蔵粋 純米アリア
蔵粋 純米協奏曲

蔵とラーメンの街、福島県喜多方。
会津若松と米沢を結ぶ街道として栄え、広大な盆地から豊富に穫れる米と、飯豊山系の地下水が豊富であることから、今でも8社の酒蔵が存在しています。

その中の1社、徳川吉宗が将軍だった享保時代から続く300年近い歴史を持つ蔵が小原酒造株式会社です。

蔵枠(くらしっく) 小原酒造株式会社|外観
小原酒造株式会社は享保2年(1717年)に小原嘉左衛門(おはらかざえもん)氏が創業した10代続く酒蔵です。

創業者がどういう経緯から酒造業に参入したのかは分かりません。
かつての屋号は山形屋と言い、味噌や醤油なども取り扱われていたようで、酒造業は事業の中の一つという位置付けで行われていたそうです。

蔵に残る大正時代に撮られた写真によると「國光(こっこう」「イチマル」という酒名の酒を造っていたことが分かります。 また杜氏の隣には大きな犬が写っていて、蔵元の話によると杜氏は飼っている犬まで連れてきていたとのことです。

かつての杜氏は蔵人はもとより、ご飯を炊いたり洗濯したりする人まで引き連れて蔵に来ていたという話を聞いたことがありますが、飼っている犬まで連れて来たという話は初めて聞きました。

蔵枠(くらしっく) 小原酒造株式会社|釜場

現在の代表銘柄、蔵枠(くらしっく)は平成元年に誕生したモーツアルトを聴かせて醗酵させたお酒です。

蔵元が昭和62年に東京の滝野川にあった醸造試験所で勉強をされていた時、第6研究室というところで酵母の実験が行われていたそうです。

酵母に紫外線を当てたり超音波を当てたりして、突然変異が起こらないかという実験をしていたのですが、耳に聞こえない音ではなく聞こえる音でも実験してみようと、酵母に様々な音を当てて醗酵させてその結果を調べることになったそうです。

ノイズ、クラシック音楽など様々な音を当てて酵母の死滅、増殖速度のデータを取ったところ、クラシックを掛けたグループ(バッハ ベートベン モーツアルト)の酵母が増殖において最も良い数字が出たとのことです。

次に実際の仕込みのサイズでクラシックのグループだけに同様の実験したところ、モーツアルトを聞かせた醪の酵母の増殖速度が最も早く、香りも綺麗な酒が出来たという実験結果を知り、モーツアルトを聴かせて醗酵せる酒の製造を考えます。

しかし、そんな蔵元の考えに周囲は反発。
当時は、南部杜氏が酒造りをされており、杜氏が「クラシック音楽なんかが流れていたら気になって仕事の邪魔になる。演歌だったらいいけど」と言われたとか。

そういう杜氏を説得し、平成元年に本醸造のタンク1本だけにモーツアルトを聴かせて発酵させた酒、蔵枠(くらしっく)ブランドが誕生します。
同時に、地元レギュラーの國光など全製造を特定名称酒にスペックアップされました。

この酒を売り込もうと、蔵元は問屋まわりをしたのですが、当時の日本酒業界はリベート・条件が幅を利かせていた時代。
蔵元はクラシック音楽を聴かせた酒は、リベートや条件を出さずに販売する方針でいた為、問屋まわりをして売り込んでも相手にされなかったそうです。

しかし、吟醸酒ブームが起こり、「良いお酒があれば持って来て下さい」と言ってくれる小売店が現れるようになり、地酒の販売にやる気のある小売店から注文が入るようになったとのことです。
そして翌年には「純米を造って欲しい」「吟醸は無いのか?」などのリクエストに応える形でラインナップを増やし、やがて蔵の主力銘柄に変わっていったそうです。

その後2009年には全量純米化。
地元レギュラー酒も純米化したので、國光 純米酒は一升瓶で1943円とお買い得です。

写真は麹室の外観。
蔵枠(くらしっく) 小原酒造株式会社|麹室の入り口
外がレンガで覆われた麹室です。
古い酒造りの様子が描かれた絵を見ると、麹室は土壁で覆われていますが、明治から大正、昭和初期には外をレンガで覆った麹室があったようです。
古い建物をそのまま使っている蔵に行くと、時々、レンガ造りの麹室を見ることが出来ます。

蔵枠(くらしっく) 小原酒造株式会社|麹室

写真は仕込み部屋。
蔵枠(くらしっく) 小原酒造株式会社|仕込み部屋

蔵枠(くらしっく) 小原酒造株式会社|槽場
仕込み水は飯豊山の伏流水です。 喜多方は扇状地になっており、約100年の年月を掛けて地下を通ってきた水は軟水です。

使用する米の殆どは兵庫の山田錦。
一部、実験的に敢えて精米を控えた75%精米のひとめぼれを使用。(蔵枠 純米アリアという酒)

一番たくさん売れている酒は蔵枠 特別純米 アマデウス。山田錦60%精米で価格は一升瓶で2050円(税抜き)。

福島県の会津地方は昔から少し甘い酒が好まれていた地域と言われていますが、蔵元が目指す酒はそんな郷土の味とは間逆な淡麗辛口の酒。スーッと水のように飲めて、さらっとした辛口のお酒を目指されているとのことです。

その理由は滝野川の試験場で勉強していた時、全国の酒を買い集めて試飲された際に、関西の蔵の酒で、スッと水のように飲めるさっぱりした酒があり、蔵元はその味に感動されたそうです。
それがきっかけとなり、スッと水のように飲めるさらっとした純米の酒を造っていきたいと思うようになられたとのことです。

最後に訪問の証の記念撮影。
蔵枠(くらしっく) 小原酒造株式会社|記念撮影
蔵の主力アイテム、蔵枠 純米 アマデウスに驚く吾郎。

当初、本醸造でスタートした蔵枠 アマデウスですが2009年以降、純米酒となり値段は一升瓶で2050円(税抜き)という低価格。

全体的に一升瓶で2千円前半のお酒が多く、日本酒ファンには魅力的な商材かなと思いました。
気になって酒屋で1本買って帰りましたが、飲み応えがありつつも切れの良いお酒だと感じました。
肩肘張らずに楽しむ日常酒としてお勧めの日本酒です。




商品の購入・質問は蔵枠(くらしっく)|小原酒造株式会社へお問い合わせ下さい。
TEL:0241-22-0074蔵枠、國光醸造元小原酒造株式会社
ここに書かれているデータは筆者が訪問した時点の情報でございます。  

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2013年11月28日

弥右衛門(やうえもん)|合資会社大和川酒造店

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 344蔵目

弥右衛門(やうえもん)|合資会社大和川酒造店

福島県喜多方市字寺町4761
蔵元のサイト:http://www.yauemon.co.jp/


酒名:弥右衛門(やうえもん)、大和川(やまとがわ) ■創業:寛政2年(1790年)9代 ■杜氏:社員杜氏 ■仕込み水:軟水 ■訪問日:2013/11/28

代表銘柄
カスモチ原酒 弥右衛門酒
純米大吟醸 酒星眼回
純米大吟醸 大和川 四方四里 身土不二

合資会社大和川酒造店は江戸時代中期、寛政2年(1790年)に佐藤彌右衛門(さとうやうえもん)氏が創業した現在で9代続く酒蔵です。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|外観
写真は平成2年に建てられた飯豊(いいで)蔵。

彌右衛門氏の祖先は1600年代に奈良から会津へ移り住んだと言われています。

奈良県を流れる大和川は度々氾濫し、流域に被害をもたらし、その度々に治山・治水が行われ、新しく出来た土地には綿の木を植え、綿花から綿を紡いだそうです。 その結果、大和川流域には綿の木の栽培と製綿の技術が蓄積されていき、その技術を持った人々が会津に渡って来たと言われています。

彌右衛門氏の祖先もそのうちの一人ですが、国替えで藩主に付いて行ったのか、技術者として会津に来たのかは分かりません。
喜多方の北にある松山町村松という場所で製綿業を営みます。
その家に生まれたのが彌右衛門氏ですが、長女が婿を取って家督を継いだ事により分家。
1770年頃に現在、北方風土館が建つ寺町にて綿業を始めたそうです。

この寺町という場所は越後北街道の要所、更には米の流通地だったそうで、この地での商いの実績が買われ、本家の信用力もあって1790年(寛政二年)に会津藩から酒箒(さけほうき)[酒造免許]を頂き酒造業を始めます。

酒箒(さけほうき)とは酒林の事を意味しますが、会津藩では酒造株の事を「酒箒」を表現していたようで、蔵元の話によると、蔵に残る会津藩の許可証にも「酒箒(さけほうき)」と記されているとの事。

創業当初の屋号は「大和彌」と言い、この名前は明治の中期まで続き、その後は「大和川」となります。

彌右衛門氏が生まれた本家はその後の世代でも分家が続き、その分家からも分家が生まれ、香久山、天香、大和錦、峰の雪、花錦といった銘柄が誕生したそうです。しかし現在、残っているのは大和川酒造と峰の雪の2社のみです。

左端の酒「カスモチ原酒 弥右衛門酒」がこの蔵の看板商品。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|商品
この蔵の看板銘柄「カスモチ原酒」は明治時代から地元の人から重宝されてきた、麹歩合の高いコクのある甘口酒。

カスモチのカスとは醪(もろみ)のことで、モチは(もたせる)という意味です。つまり、醪を長く持たせる(醪を長期醗酵させる)ということです。

第二次大戦中はコメ不足により製造を休んでいたものの、昭和36年に「伝家のカスモチ原酒 彌右衛門酒」として復活。

昔からのファンに愛飲され、「糖類を使わない酒としては、日本で一番甘い」という個性豊かな酒として現在もなお人気の商品です。

かつては、このカスモチ原酒のみを製造していた時期があったそうなのですが、今では大和川、弥右衛門、酒星眼回(しゅせいがんかい)、良志久(らしく)の4ブランドを展開。濃醇甘口なお酒だけではなく、さっぱりした辛口のお酒まで味のレパートリーを増やされています。

弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|弥右衛門

酒星眼回は、北方風土館でしか買えないお酒です。ラベルは小川芋銭の絵が描かれています。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|酒星眼回

弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|展示館

かつて蔵があった建物は、北方風土館として古い酒造道具や資料の展示、お酒の試飲販売などが行われています。

弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|売店

写真は北方風土館から車で約5分の場所に位置する飯豊(いいで)蔵の釜場。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|釜場

蔵は昭和62年(1987年)に新蔵建設のため2600坪の土地を購入。
3年後の平成2年(1990年)に、当時最新鋭の設備を持つ飯豊(いいで)蔵が完成します。
外観は和風建築物ですが鉄筋の3階建て。

写真はKOS製麹機。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|KOS製麹機

製麹機とは別に杉張りの麹室もあります。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|麹室

写真は酒母室。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|酒母室

写真は仕込みに使われるOSタンク。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|仕込み部屋 OSタンク

槽場は空調が効く個室に圧搾機が2機、置かれていました。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|槽場

毎年10月初旬より造りを開始。
3月中旬に甑倒しが行われ、全て搾り終えるのが4月中旬。
年間で約1300石の日本酒を製造しています。

原料米については、喜多方市内にある約14町の自社田で自社栽培している夢の香、五百万石、雄町、山田錦をメインに使用。
飯豊山の伏流水(軟水)が豊富で、全量地下水による仕込みが行われています。

10年前ほどまでは越後杜氏が来て酒造りをされていたそうですが、今は現蔵元の弟さんが杜氏となり酒造が行われているとのことです。

醸造設備は山形の酒蔵の大山が設計したOSタンク、KOS製麹機が置かれていましたが、それとは別に、昔ながらの麹室もあり、近代設備の良さと昔ながらの手造りの良さの両方を残した蔵です。
どのフロアも床がピカピカでとても近代的かつ衛生的に感じました。

最後に訪問の証の記念撮影。
弥右衛門(やうえもん) 合資会社大和川酒造店|記念撮影
蔵の代表商品、カスモチ原酒 弥右衛門酒に注目する吾郎。

実は甘口のお酒も好きで、独特の甘みを持つと言われるカスモチ原酒にとても興味があります。

ネットが普及する以前は、貴醸酒や全麹仕込みによる濃醇甘口の酒とは早々に出会える事が無く、飲む機会が少なかったのですが、ネットが普及した今では以前よりは比較的簡単に手に入れられる時代になりました。

そうなると、単に甘い酒というだけではなく、そこから更に一歩踏み込んだ個性的な甘さが求められるようになります。

次世代の蔵元の話によると、古くからこの酒を知る地元の愛好家の話ですと「昔はもっと個性的な甘口だった」とか。
今でも他には無い甘味・旨味を持っているお酒ですが、更に特徴を出し認知度を広めていきたいとのことです。
今後の躍進が期待出来るお酒です。




商品の購入・質問は弥右衛門(やうえもん)|合資会社大和川酒造店へお問い合わせ下さい。
TEL:0241-21-1500弥右衛門、大和川醸造元合資会社大和川酒造店
ここに書かれているデータは筆者が訪問した時点の情報でございます。  

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2013年11月27日

寫楽(しゃらく)|宮泉銘醸株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 343蔵目

寫楽(しゃらく)|宮泉銘醸株式会社

福島県会津若松市東栄町8-7
蔵元のサイト:http://www.miyaizumi.co.jp/


酒名:寫楽(しゃらく)、宮泉(みやいずみ)、玄武(げんぶ) ■創業:昭和29年(1954年)4代 ■杜氏:社員による製造 ■仕込み水:弱軟水 ■訪問日:2013/11/27

代表銘柄
寫楽 純米酒
寫楽 純米吟醸 ささめゆき
大吟醸 宮泉

寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|外観

寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|看板
鶴ヶ城から最も近い酒蔵、宮泉銘醸株式会社は昭和29年に宮森啓治氏が創業した現在で4代続く酒蔵です。

創業者の宮森啓治氏は、かつて会津で一番の規模を誇る老舗蔵「花春」の家に生まれますが長男では無かったため分家として独立されました。

第二次大戦の企業整備令によって統廃合され使わなくなっていた酒蔵を買い取り、現在の場所で酒造業を始めたというのが創業の経緯です。

写真は蔵の敷地の中にあった案内板。
寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|武家屋敷跡

蔵が建つこの場所は、かつて白虎隊寄合二番隊長、一ノ瀬加寿馬邸があった場所で、蔵の周囲には鶴ヶ城の家老級の武家屋敷が立ち並んでいたとのこと。
写真には写っていませんが、会津戦争の時に実際に使われた銃弾が展示されていました。

また、別の場所にある案内には蔵の前の甲賀通りで会津戦争の降伏式が行われたと書かれていました。

寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|商品
蔵の創業銘柄は宮泉。
現在、地酒ファンから人気急上昇中の寫楽(しゃらく)は、廃業した東山酒造という酒蔵が持っていた商標を引き継ぐ形で、平成17年に宮泉銘醸で造りはじめた銘柄。
東山酒造も花春から分家した蔵で、商標を引き継ぐなら同じ家の出が良いという事で寫楽を引き継がれたとのことです。

かつての寫楽は看板のように東洲斎写楽が描かれていたラベルだったのを覚えています。
見た目にインパクトがあり、名前も覚えやすいので印象に残っているお酒です。

寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|写楽の外観
その寫楽がリニューアルしたのは4代目蔵元、宮森義弘さんが酒蔵を継がれてからです。

システムエンジニアをされていた義弘さんは、今から11年前の2003年に酒造業を継ぐために会社を辞め、酒造りの勉強のため福島県のハイテクセンターで3年間勉強をされました。

蔵に戻られた当時は製造石数は約200石で普通酒を中心に製造されていました。
南部杜氏から技術を学んだ社員杜氏が酒造りをされていたそうです。

新しい世代の人々、日本酒を飲まない世代の人々が、寫楽を口に含んだ時に「日本酒はとても美味しい物なんだ」と思って頂ける酒を造りたい。

そう考えた蔵元は、高品質な市販酒を造っていきたいと考えていたそうですが、普通酒を中心に造っていた製造の現場と意見が合わず、最初の頃は度々衝突が起きていたとのことです。

そんなこともあり、最初の頃は義弘さんによって製造された酒は「寫楽」として、昔から造りをされていた人達が造る酒は「宮泉」として販売されていた時期があったそうです。

その後、義弘さんの方針に付いてくる社員は残り、付いて行けない方は去り、現在では義弘さんが製造責任者となり、社員全員が力を合わせて酒造りをされています。
現在は宮泉も寫楽と同じクオリティーで造られているとのことです。

写真は釜場です。
寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|釜場
写真ではわかりにくいのですが、四角い甑(こしき)で米を蒸されていました。

蒸された米は袋ごとクレーンで吊り上げ放冷機に移されます。
寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|釜場
甑(こしき)から米を掘り出す作業は腰を痛める辛い作業です。
しかしクレーンで持ち上げると蔵人の身体への負担が少なく短時間に行えます。

今季は10月1日からスタートし、4月下旬に甑倒し。
ゴールデンウィークを過ぎた5月下旬頃に造りを終える予定で、約900石の日本酒を製造する計画を立てられています。
今年は早く終わる方で、昨年は6月末まで酒造りを続けられていたそうです。

寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|麹室

写真は酒母。
寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|酒母

仕込み部屋を上のフロアから撮影。
寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|仕込み部屋_上から

寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|仕込みタンク 米投入

写真は仕込み部屋を下から撮影。
寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|仕込み部屋

写真は槽場。
寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|槽場
槽は個室に置かれてあり、部屋を仕切っての温度調節が可能。

今は杜氏という肩書きを止めて、社長が製造責任者という形で製造されているとのことです。
蔵は会津杜氏会に入られていて、県外の南部杜氏の資格を持つ蔵人もいるそうですが、杜氏とは名乗らないそうです。

蔵が目指されている酒は上でも書きましたが、新しい世代の人々、日本酒を飲まない世代の方が、口に含んだ時に「日本酒はとても美味しい物なんだ」と思って頂ける酒。

福島県では昔から少し甘口の酒が多かったそうで、福島県の方が慣れ親しんできた甘味のある酒で更に洗練された酒。
甘味を残しつつも切れが良い酒。
ブラインドテイスティングした際に、常に上に食い込んでいけるようなレベルの高い酒を造っていきたいとのです。

最後に訪問の証の記念撮影。
寫楽(しゃらく)  宮泉銘醸株式会社|記念撮影
仕込み水の美味しさに驚く吾郎。

今、人気上昇中の寫楽ですが、確かに味は洗練されており、人気が上昇する理由がよく分かります。 蔵は外も中もとても綺麗で、大掛かりな設備投資が行われ、蔵元が帰って来た頃は普通酒の製造が中心だったそうですが、今はその面影を全く残しません。

それどころか、他の蔵の手本となるような吟醸蔵に完全リニューアルしているように見えました。

設備投資は蔵にとってとても勇気がいることだと思いますが、蔵元はよく決断されたと思います。

またこのような蔵の多くは一般の蔵見学は不可というところが多いのですが宮泉銘醸は一般の方の見学も可能です。
会津若松には他にも見学可能な蔵があり、美味しいお店も多く、鶴ヶ城という酒蔵以外の観光地もあります。
日本酒愛好家の蔵見学には絶対お勧めの酒蔵です。




商品の購入・質問は寫楽(しゃらく)|宮泉銘醸株式会社へお問い合わせ下さい。
TEL:0242-27-0031寫楽、宮泉、玄武醸造元宮泉銘醸株式会社
ここに書かれているデータは筆者が訪問した時点の情報でございます。  
タグ :4代弱軟水

Posted by 佐野 吾郎 at 12:00TrackBack(0)福島県の酒蔵巡り
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