2011年02月25日

澤屋まつもと・日出盛|松本酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅。
129件目の訪問蔵は、
京都府伏見で日出盛・澤屋まつもとという酒を醸す松本酒造株式会社です。

澤屋まつもと・日出盛|松本酒造株式会社

所在地:京都市伏見区横大路三栖大黒町7
銘柄:日出盛・澤屋まつもと
創業:1791年 寛永3年
杜氏:蔵元杜氏
仕込み水:中硬水
訪問日:2011/2/25

代表銘柄
澤屋まつもと 純米酒
日出盛 金印
桃の滴 純米吟醸
RISSIMO リッシモ

灘に次ぐ酒処、京都の伏見。
カメラを持っている人なら思わずシャッターを押したくなるような美しい外観を持つ蔵が松本酒造です。
澤屋まつもと 日出盛 松本酒造株式会社

写真の建物は大正12年に建てられたもの。
伏見の酒蔵の多くは近代化していった為、今ではこの建物が実際の酒造りが行われている蔵としてはもっとも古い建物だそうです。

平成19年11月に経済産業省が新設した「近代化産業遺産」にも認定されています。


松本酒造の創業は江戸時代後期の1791年。
創業者、松本 治兵衛(まつもと じへい)という方は、もともとは彦根藩の井伊家に使える士族でした。
しかし武士の生活はかなり苦しかったようで、16歳の時に士族である身分を捨て、京都で出てきて商売人の元へ奉公をされます。

そして20歳の時に造り酒屋を独立開業。
東山の三十三間堂の西側で造り酒屋を構えます。


その当時、京都(洛中)には約300の酒蔵があったそうです。
その後、明治維新を乗り越えて、大正の恐慌を乗り越え、第2時世界大戦を乗り越えて、現在まで酒造りを続いている酒蔵はわずか3社のみ。
キンシ正宗、招徳、松本酒造の3社が現在まで酒造りを続けてきました。


明治に入り、伏見から次々に成功する酒蔵が現れたことから、大正12年に現在の伏見の土地に蔵を移転させます。

松本酒造_看板.jpg今では京都市伏見区となっていますが、かつて伏見は「山城国紀伊郡」と呼ばれていて、現在のような京都の一部としては扱われていませんでした。

琵琶湖の水が宇治川通じて流れてくる事によって造られた巨椋池という湖があり、雨が降ると増水するため、現在のような都市ではありませんでした。

その伏見ですが、現在のような街を形成するきっかけとなったのが、豊臣秀吉による伏見城の築城です。

一節には「水が良いから」という理由で伏見に伏見城を築城したと言われますが、治水工事が行われ伏見城の城下には戦国武将の屋敷が並ぶようになります。

伏見の酒造業が発展するのは明治以降に近代に入ってからだそうですが、桃山時代に伏見港を作った事で、京都と大阪の舟を用いた物流の中間拠点として伏見が街として発展していきます。

後に誕生した伏見の日本酒ですが、この時代に港が作られた事によって、重い酒樽を舟で効率よく運搬が行われた事から、灘で造られた日本酒と同様に物流面で優位性を持つことになり発展することになります。



写真は、桃山時代の伏見地図と、木の箱に入った巻物は「酒造株」の原本です。
酒造株は今でいう日本酒の製造の免許です。この地図を見ますと、当時の伏見は水運都市であった事が伺えます。
松本酒造_酒造株.jpg
写真は酒造株の複製です。
酒造株には決まり事、規制、実際に起きた違反例とその罰則、京都に出てきている各藩からの認印が記されています。
松本酒造_酒造株コピー.jpg
広げるとかなりの長さがあります。写真ではまだ全部開ききれていません。
写真の右上の方が松本酒造の蔵元、松本保博さんです。
松本酒造_酒造株大.jpg
蔵元は大学の先生にお願いし、酒造株に書かれている文章を現在の言葉に翻訳しました。
松本酒造_酒造株_現代.jpg
以前、高槻の「清鶴酒造」に訪問した際、摂津の富田の地に、紅屋という大変大きな造り酒屋が、かつて存在していた事を教えていただきました。
その蔵は特殊な酒造株を持ち、商売も繁盛していたそうですが、ある時期に突然廃業をしてしまったそうです。

何故そんな豪商が突然、廃業をしたのか?
私は疑問に思っていましたが、松本酒造酒造株には「摂津富田の清水市郎右衛門に違法行為があったと」記されていました。



酒造株には京都の出てきている各藩からの認印が押されています。
松本酒造_酒造株藩.jpg
現在伏見には20社ほど酒蔵がありますが、伏見の酒を語るには「水」が欠かせません。

伏見は昔は「伏水」と書かれていたそうで良質の水が豊富な土地でした。
滑らかで柔らかい水であることから、造られる酒は、穏やかで女性的な角のない酒になりやすい特徴があります。

その為、水の性格を活かした酒造りをされている蔵が多いです。

同時に伏見の酒蔵の特徴に「技術」があります。

灘と並び、近代化をしている蔵が多い地域で、日本中のほとんどの造り酒屋が使っている、蒸米機、製麹機など酒つくりのインフラは伏見で生まれています。

そういう背景から「先進的な試み」を好む地域と言えます。

そんな伏見の酒蔵の中、松本酒造の酒つくりは、「原料に勝る技術は無し」の考えから、兵庫の山田錦、北陸の五百万石を用いた伝統的な手法による酒造りが行われています。



写真は松本酒造の吟醸蔵です。先頭の写真の同じ建物の中にこの部屋があります。
松本酒造_仕込み部屋.jpg作業をされている方が蔵元の杜氏(蔵元の次男)です。

松本酒造は但馬からベテランの杜氏さんが来られていましたが、現在は息子さんが杜氏となり酒造りをされています。


最後に訪問の証の記念撮影ですが、蔵の代表的な景観の「六角煙突」を後ろから撮影。表からは誰でも撮影できてしまう映像なので、あえて裏側から撮ってみました。
松本酒造_記念撮影.jpg今回は歴史的な話がメインとなりましたが、まだまだ松本酒造が伝えたい話が沢山残っています。
造りの話を含めて、機会が有れば改めて訪問したいと思います。




澤屋まつもと 純米酒
澤屋まつもと 純米酒

1800ml 1942円(税抜き)

京都の日本酒、澤屋まつもと。日常酒として楽しむ辛口純米酒。
■甘辛:辛口
■スペック:純米酒
■原料米:五百万石
■産地:京都府
■製造元:松本酒造



 ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。


愛山, 京都府, 五百万石, 山田錦, 山廃, 蔵元杜氏

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