2014年02月07日

五人娘(ごにんむすめ)|株式会社寺田本家

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 351蔵目

五人娘(ごにんむすめ)|株式会社寺田本家

千葉県香取郡神崎町神崎本宿1964
蔵元のサイト:http://www.teradahonke.co.jp


酒名:五人娘(ごにんむすめ)、香取(かとり) ■創業:延宝年間(1673〜81年)24代 ■杜氏:社員杜氏(諸派) ■仕込み水:弱硬水 ■訪問日:2014/02/07

代表銘柄
五人娘 純米酒
菩提もと仕込み 醍醐のしずく
発芽玄米酒 むすひ

東京から電車で約1時間40分の距離に位置する下総神崎。

江戸時代には利根川の水運と米の産地であった事から周囲には沢山の酒蔵が存在するほど栄えていたというこの地は現在は静かな地方の町。

下総神崎駅から車で約10分の場所に位置する場所に、旧家の佇まいを残す蔵が今回の訪問先である寺田本家です。
五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|外観
五人娘(ごにんむすめ)という名の酒を造る株式会社寺田本家は、延宝年間(1673〜81年)に創業した現在で24代続く酒蔵です。

創業者の名前は忠兵衛といい、近江国からこの地に移住してきたと伝えられています。
香取は米どころであり、仕込み水にも恵まれ、利根川の水運があった事から栄えていたそうなので、この地に根を下ろしたのではないでしょうか?

古くは「菊の友」の酒名で酒を造っていたそうですが、その後「香取」という酒名に変わり、現在の主力銘柄「五人娘」が誕生したのが先代である23代目が当主をしていた昭和63年。

五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|外観

先代(23代目)の時代には大量生産の酒を造っていたそうですが、儲けが出ず先代が病気で倒れ一時期は廃業寸前にまで陥ったそうですが、その病がきっかけとなり酒造りを改めます。

病に伏せ天井を見ながら「自分の酒造りは儲かればいいという事しか考えてこなかった。酒とは微生物の力によって発酵して出来上がってくるもの。自分の酒造は欲しかなかった。」という事を考えたそうです。

そして病気から回復した後、今後の身の振り方をどうしようかと、思想家の常岡一郎氏という方に相談したところ「あなたのお酒は人に役に立っていますか?」と問いかけられます。

人の役に立つ酒とは何か?を考えた結果、酒は百薬の長と言われ、健全に発酵をしているモロミは腐りません。暴飲暴食をし身体を壊してしまうような酒ではなく、自然の力で発酵させた百薬の長というべき身体に良い酒を造れば、人々のお役に立てるのではないか?を考えます。

そうして昭和63年に誕生した酒名が「五人娘」でした。

酒名の由来ですが、寺田本家は何故か女性ばかり生まれる女系の蔵で、先代も現当主もいずれも婿入りした方が蔵の当主になっています。

先代が新しい酒名を考えていたときに、20代目蔵元の時代に懇意があった歌人の土屋文明氏に相談。
すると土屋氏はこの蔵に最初の訪れた際に娘が多いことに驚いたそうで、娘が5人もいたのかどうか正確な事は聞いていないので不明ですが、とにかく沢山娘がいたことから五人娘という酒名が誕生したとの事。

その後、酒造りの原点にもどり自然のバランス・恵みのなかで商いをする。
微生物が主役の酒造りをしようと決断。
そうして昔の酒造の手法に舵を切り始めます。

五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|井戸

昔の酒造は分析する道具もなければ温度計も電気もありません。
それでも酒を造ることが出来ていました。

それが文明化されて、酒造がマニュアル化されて来たわけですが、本来の酒造とは微生物の力で発酵を行っていいたわけです。

微生物はどこにでもいて、目には見ませんが環境を整えてあげるとタンクの中に降りてきて発酵を始めます。

微生物が居心地よく発酵できる場所作りを行うため、当時は安い米を仕入れて醸造アルコール、糖類、旨味調味料などを添加していたそうですが、それらを止め、無農薬の米を仕入れ何も添加しない純米酒「純米 五人娘」を造りを始めます。

当時はまだ純米酒を造っている蔵は少なかった時代だったそうです。

五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|煙突

そうして出来た純米酒ですが、酸味が強く色も黄色みがかかっていて、従来の酒と比べると変わった味だったそうです。

そのため地元の方からそっぽを向かれ、純米酒造りを開始して3年間くらいは売れなかったそうです。

いよいよダメかな?と思っていた時、自然食品をしている店が「味はともかく、良い造りをしている酒だからこの酒を広めよう」と名乗りをあげたそうです。
それからジワジワ売上を増やし起動に乗って行きます。

その後は機械をひとつひとつ廃止し手造り化を進め、昔の人が醸したお酒に近づける方向に進んでいきます。

写真の方が24代目蔵元、寺田 優(まさる)さん。
五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|24代目当主 寺田 優さん

寺田 優さんは大阪府堺市出身で1973年生まれの41歳。
関東の大学に進学しレストランでアルバイトをしていた時に、後に奥様となる寺田本家23代目のお嬢様と出会われたそうです。

大学を出て社会人となった後、農業をしたいと思うようになり、23代目のお嬢様のお誘いもあり婿入りされたとの事です。

写真は釜場です。
五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|釜場
蔵にはシューターが無く、こしの上に乗っている木の桶で米を運搬していました。

甑(こしき)は木を使用。
五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|釜場
寺田本家では昔の酒造り化を進めるべく、可能な道具から昔の物を使うようにしているとのこと。

写真は仕込み部屋。
五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|仕込み部屋
蒸し米は全量この部屋に手作業で運搬。結構たいへんだと思いました。

酵母は無添加、蔵に自然に降りてくる酵母のみ。 五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|仕込みタンク
仕込みタンクもゆくゆくは木桶を使いたいそうですが、木桶を造る職人が少ないの新しく木桶を揃えるのが困難との事。

五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|麹室

五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|麹

写真は酒母室です。
五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|酒母室

酒母は乳酸菌を用いない生もと造りが基本。
もとすりでは歌を歌いながら時間を計っているそうで、見学した日は若い蔵人の一人が歌ってくれましたがとても上手でした。
五人娘(ごにんむすめ) 株式会社寺田本家|記念撮影
訪問の証の記念撮影。

私が興味深く、もとりの棒を見ていたら蔵元が「写真をとりたいんでしょう」と声をかけてくれたのでお言葉に甘えて、撮影していただきました。

寺田本家では蔵見学の日が設けられていて、蔵に電話すると予約が出来ます。
一般の方でも大歓迎で、この日は麹室のなかまで入れてもらえました。
とても綺麗で感じのよい蔵です。蔵見学にお勧めします。




ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

この記事へのトラックバックURL

http://sanoya.jizake.com/t2392

蔵元の熱き思いをお届けします。年間発送1万件以上 地酒のセレクトショップ 佐野屋 地酒.com
◆佐野屋 地酒.com
蔵元の熱き思いをお届けします。年間発送1万件以上 地酒のセレクトショップ。