2013年03月18日

玉川(たまがわ)|木下酒造有限会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 323蔵目

玉川(たまがわ)|木下酒造有限会社

京都府京丹後市久美浜町甲山1512
蔵元のサイト:http://www.sake-tamagawa.com/


酒名:玉川(たまがわ) ■創業:天保13年(1842年)7代 ■杜氏:南部杜氏(社員) ■仕込み水:弱軟水 ■訪問日:2013/03/18

代表銘柄
玉川 Ice Breaker
玉川 福袋 純米吟譲 無ろか生原酒
玉川 自然仕込 純米酒

玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|外観
木下酒造有限会社は天保13年(1842年)に5代目木下 善兵衛氏が創業した現在で7代続く酒蔵です。

善兵衛氏はこの地に30町(9万坪)もの土地を持つ大地主で余剰米があった事から酒造りを開始されたとの事。

蔵が酒造業を開始したとされる天保13年ですが、天保4年に天保の大飢饉が起きて天保7年には10万人の餓死者がでたほど米が不足していた時期です。
新規の酒造株など早々に許可されなかった時代でしたが、米が無いことから酒を造ることが出来ないため廃業していく酒蔵も多かったそうです。

善兵衛氏の親戚に酒造家がいたそうで、そこから100石の酒造株を購入して酒造りを始められたとの事。

創業当初の酒名は不明。現在の酒名「玉川」はいつ頃に誕生したのかは不明。
蔵がある地域が川崎といわれていたことから地元の人々は蔵を「川崎」と読んでいたそうです。
蔵は昭和27年に法人化し木下酒造有限会社となります。

写真の方は5代目蔵元、木下善人さん。
玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|木下善人蔵元
酒造業を開始してからでは5代目ですが家全体では11代続くとのこと。

写真は蔵にある売店。
玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|店内

玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|商品

玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|商品
蔵には売店が併設されてありお酒の購入も可能。

それまでは地元を中心に酒を販売していた蔵でした。
久美浜はズワイガニの本場で、今でもズワイガニを売りとする温泉旅館が多いところ。

造る酒は地元の温泉旅館で主に消費されていたそうですが、かに料理を食べさせてくれる温泉旅館の数はバブル崩壊後から徐々に減少。地元以外の販路拡大を迫られていた蔵に平成19年にフィリップ氏が杜氏に就任。
これをきっかけに木下酒造が全国区で知られる酒となります。

写真の方が杜氏を務めるフィリップ ハーパーさん。
玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|フィリップ ハーパー
フィリップ ハーパーさんが何故、日本に来て酒造りを行うようになったのか?蔵で話をお伺いしました。

フィリップ ハーパーさんは昭和63年、イギリスの南西の果てのコーンウォールから日本にやって来ました。来日の目的は「外国で生活してみたかったから」とか。

日本酒など飲んだことなど無かったフィリップさんは、当時文部省と外務省が行なっていたJETという制度を利用し来日。
JETとはアメリカやイギリスで大学を卒業した人間を日本の中学校や高校で英語の勉強を教えるとう制度。

フィリップはJETの2期制として来日。大阪の高校で英語の授業を教える事になります。

もともとお酒を飲むことが好きだったというフィリップさんは、来日後あちらこちらで開催される学校の宴会に度々顔を出されたそうで、そこで初めて日本酒という飲み物に出会います。

同じ高校で働いていた事務員の方と仲良くなり、その方が大の日本酒好き。
その事務員の方の中学時代の同級生が、現在石川県の酒蔵で「遊穂」という酒を造る横道杜氏で、その頃は同様に職員をされていたそうです。

フリップさんと事務員の方と横道さんの3人で蔵に行ったり日本酒の会に行くようになり3人は日本酒の道に進むことを真剣に考えるようになります。

そして2年間のJETのシステムが終了する頃、同じ学校の事務の方が公務員を辞めて奈良県の梅乃宿という酒蔵に就職されます。
それに刺激されフィリップさんもそのまま日本に残って日本酒の仕事をする事を決意。

しかしフィリップさんはイギリス人なので酒蔵で働くにはビザが必要です。
調べたところ陶芸をされている外国人が「文化活動ビザ」を得て日本で働かれている事を知り、フィリップさんも文化活動ビザの取得を考えます。

天満橋の入国管理局に通い説明するのですが「前例がない」という事で、入管の方は良い返事をくれません。

昼は英会話学校で働き、夜は地酒専門居酒屋でバイトで生活費を稼ぎながら、週末やお正月休みには友達が働いている梅乃宿に顔を出す。
その間に何十回も入国管理局に通い、何度も何度も「これは伝統文化」である事を説明し続けた結果、文化活動ビザを取得されたそうです。

そして平成3年に梅乃宿の蔵人として働くようになります。
そして同じ年に横路さんも学校の仕事をおやめになり蔵人となったとの事。
なのでフィリップさんと横路さんは酒造りのキャリアは同じになります。

平成7年には南部杜氏の試験に合格。
その後、大阪の蔵や関東の蔵などを経て平成19年に木下酒造の杜氏となります。
当時は季節雇用でしたか平成24年には木下酒造の常務取締役となり役員となり今に至ります。

写真は釜場。
玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|釜場

玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|釜場

玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|蒸し米
原料米にはコウノトリの郷で栽培されている五百万石、京都の酒造好適米の祝、兵庫県産の北錦、同じく兵庫県産の山田錦。
人気の酒、アイスブレーカーには滋賀県の清水さんという農家が育てる日本晴を使用。

京都府の酒蔵ではありますが、車で10分も走れば兵庫県である事から兵庫の米が比較的多いとのこと。仕込み水には、蔵の裏山から湧く弱軟水の「城山の水(天然水)」を使用。

仕込みは10月上旬に酒造りがスタート。(精米は米が入ってきたら直ぐ)
週に3本くらいのペースで酒を仕込み甑倒しは3月中旬。年間で約650石の酒を製造されています。

写真は麹室。
玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|麹室

写真は仕込み部屋。
玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|仕込み部屋

玉川というと山廃仕込みが人気商品なので、山廃やら生もと造りやら、そんな酒ばかり造っているイメージがあります。 しかし速醸も沢山造っておられ、甘い酒(アイスブレーカー)も造っておられ、1つの箱に収まらず様々なお酒を造っているとの事。

玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|槽場

木下酒造では蔵から少し離れた場所に精米場があります。
玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|精米機
写真の精米機を用いて原料米を精米しているとの事。

訪問の証の記念撮影。
玉川(たまがわ) 木下酒造有限会社|記念撮影
地酒アイスを楽しむ吾郎。

フィリップさんが木下酒造の杜氏に就任した年は製造量は300石だったそうで、現在はその頃から比べて2倍以上に生産量を伸ばしたことになります。
まだまだ勢いがあり、今後の更なる成長を期待させる蔵元。日本酒ファンの皆様、要チェックです。




商品の購入・質問は玉川(たまがわ)|木下酒造有限会社へお問い合せ下さい。
TEL:0772-82-0071玉川醸造元木下酒造有限会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

この記事へのトラックバックURL

http://sanoya.jizake.com/t2361

蔵元の熱き思いをお届けします。年間発送1万件以上 地酒のセレクトショップ 佐野屋 地酒.com
◆佐野屋 地酒.com
蔵元の熱き思いをお届けします。年間発送1万件以上 地酒のセレクトショップ。