2013年03月11日

萬年雪(まんねんゆき)|森田酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 318蔵目

萬年雪(まんねんゆき)|森田酒造株式会社

岡山県倉敷市本町8-8
蔵元のサイト:http://www.moritasyuzou.co.jp/


酒名:萬年雪(まんねんゆき) ■創業:明治43年(1910年)3代 ■杜氏:備中杜氏(社員) ■仕込み水:弱軟水 ■訪問日:2013/3/11

代表銘柄
萬年雪 純米荒走り 純米未搾り原酒
萬年雪 風笑花酔吟醸未搾り原酒
萬年雪 激辛原酒

萬年雪(まんねんゆき) 森田酒造株式会社|外観
倉敷の美観地区に位置する森田酒造株式会社は明治43年(1910年)に森田尚二氏が創業した現在で3代続く酒蔵。

倉敷の美観地区は、江戸時代は幕府の直轄地「天領」であったため、幕府の代官所など行政機関が置かれ、税金も安かった事から商業が発展。

森田家はこの辺りの地主であり金貸しを等を営む商人だったとの事。
地代として沢山の米を預かっていたのですが当時の米相場は豊作・不作による変動が大きく、米の商いでは収益が安定しなかったそうです。

だったらもっと価格が安定していて、しかも付加価値が付く物は何だったか?というと酒。
当時、職人の日当が一日1円だった時代に、酒は1升が1円だったそうですから今の価格に換算すると1万5千円くらいでしょうか。

米を酒に変えたら、もっと安定した経営が出来るのではとの事で酒造免許の規制が緩和された明治時代に酒造業を開始した、というのが経緯のとの事。

創業当時の屋号は宮の屋といい「菊千代」という名の酒を製造。この素敵な酒名はなんと創業者が囲っていた妾(めかけ)さんの名前だったとか。
さすがにそれは良くないだろうと、富士登山に成功された時に考えた酒名「萬年雪」がその後の代表銘柄となります。

萬年雪(まんねんゆき) 森田酒造株式会社|商品

萬年雪(まんねんゆき) 森田酒造株式会社|商品

創業者の尚二氏は相場師だったそうで、当時の金額で億単位のお金を稼いだ時もあったそうです。なので酒造業は主な収入源というより事業のひとつ。
その後相場で大きな損があり、何もかも手放す事になり残ったのは今の蔵との事。それでもかなりの広い面積を持つ蔵です。

創業者は波乱に飛んだ方だったのですが、2代目は対照的に学者肌の人。
良い酒をどうやれば造る事が出来るのかを追求されていた方で「何の理屈もない、良い酒さえ造れば売れる」の信念で営業や値引を一切せず、変わった酒も造らず正統派の酒を造ることに専念されたそうです。

そして現蔵元3代目となる森田昭一郎さんは、そんな先代の何の変化もない酒造りがとても面白くなかったとの事。
全く変化がない状況がとても辛かったそうで度々2代目と衝突。
ついに先代が折れ「今日からお前がやれ」と通帳と印鑑を昭一郎さんの前に置いて引退。

そんな形で蔵を継いだので、何も教えてもらえなかった昭一郎さんは銀行に行って支店長にあって蔵の財務状況を教えてもらう事からスタートされたそうです。

蔵を継いだ昭一郎さんですが、最初は上手く行かなかったようで特に営業と値引きが嫌いな方。 営業に行くとトラブルをおこして返ってくるので、頼むから外に出ないでくれと周囲から言われる始末。

今日廃業するか明日廃業するかの状況まで追い込まれたそうで、どうせ廃業するなら好きな事をして辞めようと造った酒が「激辛」。 昭和50年台に激辛を販売したところこの酒がヒットします。

当時岡山の酒はマイルドで優しい姫酒でした。激辛という酒は無かったそうです。
荒々しい自体で「激辛」と書かれたラベルで製品化したのですが、丁度その頃から時代が辛口酒へと流行が変化します。

激辛は辛口酒が好きな関東市場で売れ、蔵は息を吹き返します。そして次に出した酒が「荒走り」。
これが大ヒットし今でも萬年雪 荒走りが蔵の主力商品になります。

萬年雪(まんねんゆき) 森田酒造株式会社|荒走り

萬年雪の荒走りは「槽(ふね)」と言われる圧搾機に酒袋を積み重ねる作業中、酒袋から滴り落ちてくる圧がかかっていない状態で採取される酒。

槽には大きさに限りがありますので、上のスペースを利用しようと酒袋を上に高く積み上げていきます。
その時に、槽で搾ることが出来る高さ以上に酒袋を積み上げます。
積み上げられた酒袋の重圧によって酒が搾り出されて、槽で搾ることが出来る高さまで下がってきたところで加圧をして絞り始めます。

萬年雪の荒走りは、加圧せずに重圧によって絞り出された部分のみを商品化。
最近では「無加圧」などと言われる事がありますが、圧が弱いためにモロミに含まれる雑味等が溶け出ていない分、綺麗で高品質な酒が採取されます。

香り高く味の密度も濃いため、和食にかぎらずイタリアンや中華にもよく合う酒。
大きは二人で飲み切るのに良いサイズの500mlのみ。

1800mlを造らなかった理由は、問屋や酒屋は量を売りたいので基本1升ビンを好みます。
しかし蔵元は営業をしなかった為1800mlの販売が不得手。

そこで目をつけたのが小ビンの市場。
当時、小ビンの市場はガラガラに空いていたので、1升ビンを売る力がなかったので仕方なく小ビンの市場に参入。

小ビンの場合、1升ビンと比べると割高な料金になります。
そこで品質の高い酒を詰めて売る事に迫られて、特定名称酒以上の酒しかつくらない方針を決定。
最終的には全量純米酒にする事を考えているそうです。

写真は仕込み部屋。
萬年雪(まんねんゆき) 森田酒造株式会社|仕込み部屋
製造は11月頃からスタートし、甑倒しは1月下旬。
私が訪問した3月11日には仕込みは終わっていました。

写真は槽場。
萬年雪(まんねんゆき) 森田酒造株式会社|槽場
酒を搾るのはこの2台の槽(ふね)のみ。

訪問の証の記念撮影。
萬年雪(まんねんゆき) 森田酒造株式会社|記念撮影
萬年雪の荒走りを手に取り感心する吾郎。

面白いのは本当に小ビンに特化していて1升ビンが無いこと。
小ビンもおしゃれな形状のボトルが多く、確かに新しい日本酒ファンにアピールする商品だと思いました。

槽を使った荒走りにせよ、小ビンに特化した方針にせよ、蔵が与えられた条件に逆らわず逆に上手に利用された事によって、他の蔵には無い独特の存在感を持っている事に驚きました。

森田酒造の商品は、蔵の隣にある「平翠軒(へいすいけん)」というお店で販売されています。
倉敷の美観地区にお越しの際は是非お立ち寄り下さい。




商品の購入・質問は萬年雪(まんねんゆき)|森田酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:086-422-0252萬年雪醸造元森田酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

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