2012年11月30日

酒屋八兵衛(さかやはちべい)|元坂酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 300蔵目

酒屋八兵衛(さかやはちべい)|元坂酒造株式会社

三重県多気郡大台町柳原346-2
蔵元のサイト:http://www.gensaka.com/


酒名:酒屋八兵衛(さかやはちべい)、うっかり八兵衛 ■創業:文化2年(1805年)6代 ■杜氏:蔵元杜氏(諸派) ■仕込み水:中軟水 ■訪問日:2012/11/30

代表銘柄
酒屋八兵衛 本醸造
酒屋八兵衛 山廃純米酒
からくち 酒屋うっかり八兵衛 本醸造

どんな商売でも市場が必要で、人がいない場所では商売ができません。
しかし全国の酒蔵を訪問していると、とても山深い場所に酒蔵が残っていたりします。

こんな山深く人が少ない場所で、酒造業が成り立つのだろうか?
そう思ってしまう場所にも酒蔵が残っていたりするのです。

今のように流通や保存が発達していなかった江戸時代、酒蔵は人々が歩いていける範囲に1件くらいは存在していたと言われていますが、その名残なのでしょうか。

そんな酒蔵の一つが、伊勢の山奥で酒屋八兵衛(さかやはちべい)という名の酒を造る元坂酒造株式会社です。 酒屋八兵衛 元坂酒造株式会社|外観
元坂酒造株式会社は江戸後期にあたる文化2年(1805年)に元坂 八兵衛氏が創業した現在で6代続く酒蔵です。

八兵衛氏は何をされていて酒造業に参入されたのかは不明とのことですが、米を集める力があった事から地主ではないかと伝えられています。

文化2年という年はペリーが浦賀に来る30年前。アメリカやロシアの舟が通商を求め長崎に来はじめた頃。
八兵衛氏は近くの酒蔵の株を買って酒造業に参入したと言われていていますが、翌年の文化3年に「勝手造り令」が発令されます。

勝手造り令とは酒造株が無くとも届けでさえすれば酒造りが行える政令。
文化期は豊作続きだったので米相場が下落。そこで酒を造ることで米の需要を増やし、相場の安定化を図るため行われた規制緩和策です。

時代背景的に、豊作続きで米が余っていた時期。
近くに酒造株を売りに出ている酒蔵があった事から株を手に入れ、酒造りを開始した、というのが創業の経緯のようです。

蔵の近くには伊勢から熊野に抜ける熊野古道の伊勢参詣道があり、かつてこの道を利用する人々が往来。林業が盛んで宮川を使い木材が流通されていたとの事。川を下ると伊勢なので、舟に酒樽を詰んで伊勢まで流通させていた時代があったそうです。

今は静かな集落ですが、かつて川は幹線道の役割を持っていたとの事ですから、伊勢参詣道と川があるという事は、人と物資があつまる賑やかな場所だったのかもしれません。

写真の方は6代目蔵元の元坂 新(あらた)さん。
酒屋八兵衛 元坂酒造株式会社|蔵元
新さんが蔵に戻ってきた頃、元坂酒造では東獅子(あずましし)と五十鈴川(いすずがわ)という一級酒、2級酒を製造・販売されていたそうです。
当時、日本酒市場は安売り競争のまっただ中だったそうで、1ケース仕入れたら1本サービとか2本サービスといった事が行われていました。

旧来の銘柄で営業に行っても値引きの話ばかり・・。
そこで品質重視で値引きは一切しないブランド「酒屋八兵衛」を昭和58年に立ち上げられます。

その後、燗酒専用のお酒「うっかり八兵衛」が誕生。
昭和時代、ビンを逆さにして差し込む酒燗器が居酒屋など普及しており、ビンが逆さになる訳ですからラベルも逆さになります。
そこで酒燗器にセットした時にラベルが正しく表示されるよう、あえてラベルを上下逆さまに貼った酒を思いつきます。

八兵衛がうっかりしていてラベルを逆さまに張ってしまった。けど酒燗器に入れたら調度良かった、という筋書きで「うっかり八兵衛」のネーミングが誕生。
蔵元はこのアイデアは大ヒットするだろうと大変期待されたそうです。

結局、期待通りに大ヒットしたかどうか定かではありませんが、今でも三重県の居酒屋に行くと頻繁に見かけるロングセラー商品として活躍しています。

写真は釜場。
酒屋八兵衛 元坂酒造株式会社|釜場
酒造りに用いる米で、量的に一番多いのが富山県産の五百万石。地元三重県産米では伊勢錦、山田錦、右近錦を使用。

10月下旬から造りがスタートし甑倒しは3月上旬。
正月休みなど造りの間隔を空ける時期はあるものの、おおよそ半仕舞い(2日に1本)のペースで仕込みを行い、年間で約700石の酒を製造。

また蔵が位置する大台町は日本有数の多雨地域で、蔵の横を流れる宮川は6年連続で日本一の清流に指定。豊富で綺麗な地下水(中軟水)を用い酒が造られています。

写真は麹室。
酒屋八兵衛 元坂酒造株式会社|麹室
蔵はかつて新潟から越後杜氏が来て酒造りを行なっていました。
しかし今から15年前(1997年頃)の造りの直前に杜氏が倒れて入院。
時期的にも新しい杜氏さがす余裕がなかったので、杜氏のもとで酒造りを教わっていた新さんが酒造りを行う事を決意。
その年を境に蔵元自らが酒造りを行うようになったそうです。

写真は酒母。 酒屋八兵衛 元坂酒造株式会社|酒母

仕込み部屋です。
酒屋八兵衛 元坂酒造株式会社|仕込み部屋
蔵元が目指している酒は燗上がりする純米酒。
蔵が造る酒は食事と楽しむ食中酒が基本、なので吟醸香は控えめ。
旨味をしっかり出して料理を引き立てる酒。

一番売れている商品は酒屋八兵衛の本醸造。
日本酒度が+4〜5にお辛口、切れを良くしスッキリした飲み口。

力を入れている酒は酒屋八兵衛 純米酒と酒屋八兵衛 山廃純米酒。
山廃純米酒については、きっちりと出来た酒は速醸よりも軽くて飲みやすい酒になる教えられた事から、ジューシーで軽くて飲みやすい山廃酒を目指されているとの事。

酒屋八兵衛 元坂酒造株式会社|槽場

最後に訪問の証の記念撮影。
酒屋八兵衛 元坂酒造株式会社|記念撮影
搾りたてて、薄く濁った新酒に感心する吾郎。

現在酒屋八兵衛は関西、愛知、首都圏の地酒専門に並ぶ酒となり、日本酒ファンの間でも知られる酒となりました。

また次の後継者、元坂新平さんも蔵の仕事を手伝われるようになったのですが、数々の武勇伝を持つ方。型破りの酒を造ってくれそうな予感。
引き続き要注目の酒蔵です。




商品の購入・質問は酒屋八兵衛(さかやはちべい)|元坂酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:05988-5-0001酒屋八兵衛、うっかり八兵衛醸造元元坂酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

この記事へのトラックバックURL

http://sanoya.jizake.com/t2320

蔵元の熱き思いをお届けします。年間発送1万件以上 地酒のセレクトショップ 佐野屋 地酒.com
◆佐野屋 地酒.com
蔵元の熱き思いをお届けします。年間発送1万件以上 地酒のセレクトショップ。