2012年06月13日

菊美人(きくびじん)|菊美人酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 264蔵目

菊美人(きくびじん)|菊美人酒造株式会社

福岡県みやま市瀬高町上庄176−2
蔵元のサイト:http://www.kikubijin.co.jp/


酒名:菊美人(きくびじん)、九州男児 ■創業:1735年(享保20年)9代 ■杜氏:柳川杜氏 ■仕込み水: ■訪問日:2012/6/13

代表銘柄
菊美人 特別純米酒
菊美人 純米吟醸酒
九州男児 芳醇辛口 本醸造

福岡県南部、有明海に面するみやま市。 矢部川の河口に位置するこの地域は、筑後川下流の城島と同様に水運の便がよかった事からかつては酒処として知られ、矢部川沿いには沢山の酒蔵が並んでいたそうです。

柳川の詩人「北原白秋」も、かつてこの地にあった北原酒造の出身です。 白秋が残した詩の中には酒蔵を関するものがいくつかあります。

そのみやま市にて、北原白秋とゆかりがある酒蔵が菊美人酒造株式会社です。 菊美人酒造株式会社_外観
日本酒、菊美人を造る菊美人酒造株式会社は1735年(享保20年)から続く酒蔵です。

蔵のルーツですが、鹿児島からこの地にやってきた問屋のようで、屋号は「薩摩屋」と名乗り、最初は米等の取引をこの地で行なっていたようですが、その後に酒造業を開始。

代々、武左衛門(ぶざえもん)を襲名してきた事から、創業者の名前は武左衛門ではないかと伝えられています。
創業は1735年で現在9代目との言われていますが、それは解っている範囲であり、もっと古くから続いているとのこと。

蔵が位置する瀬高町は矢部川の河口に位置する為、川を下れば直ぐに有明海。しかも有明海の前方には長崎の普賢岳が現れます。
その普賢岳をぐるっと回ると、長崎の丸山の遊郭や更には五島列島まで行ける事から、この地は海運で貿易を行うにはとても便利が良い土地でした。

菊美人酒造株式会社_地図

この地を治めていた立花藩は、自国で収穫した米で造った酒を自国の中で消費するよりも、外で売って外貨を稼いだほうが経済が潤うことから、外で稼いでくる事を奨励。

そういう政策も加わってこの地に酒蔵の数は増えていきます。
幕末の明治維新の頃、坂本龍馬達が長崎の丸山の遊郭で飲んでいた酒は、この地で造られ船で長崎に運ばれてきた酒だったのです。
ひょっとしたら坂本龍馬はこの蔵の酒を飲んでいたかもしれません。

写真の方は9代目蔵元江崎俊介さん。
菊美人酒造株式会社_江崎俊介蔵元
蔵元の話によると、かつては市瀬高には実に沢山の酒蔵があったとの事。
いま在蔵の周囲に建っている住宅地はかつては全て酒蔵であり、幼い頃には20蔵近く酒蔵が建っていたそうです。

しかし現在残っているのはみやま市で2蔵のみ。瀬高町では菊美人一社になりました。

写真は北原白秋が残した書。
菊美人酒造株式会社_北原白秋直筆の書
菊美人酒造は北原白秋とゆかりのある酒蔵です。
6代目蔵元は北原白秋の実の姉をお嫁さんとして迎えられていて、白秋とは義理の弟の間柄。

北原白秋は柳川の造り酒屋の生まれで、よくある酒蔵同士の結婚だったようです。

白秋が生まれた酒蔵は北原酒造といい、江戸時代には柳川藩御用達で、とても大きな蔵だったそうですが、明治34年(1897年)に起きた柳川の大火(沖端の大火)によって焼失。
その後、酒蔵は再興したのですが商売が軌道に乗らず、白秋が26歳の時に北原家は一族が離散し柳川から出ていきます。

当時、東京で生活していた若い白秋にとって厳しかった時代、菊美人酒造の蔵元が色々と世話をされていたようで、白秋が2度柳川に戻ってこられた際には菊美人酒造に寄って、いくつも扁額(へんがく)を残されたそうです。

写真は蔵の主力商品「菊美人」。
菊美人酒造株式会社_商品
ラベルに描かれている「菊美人」の文字も、白秋がこの蔵に残したものです。
福岡らしい醇口の酒。

写真は麹室、黒く塗られているのは柿渋。
菊美人酒造株式会社_麹室の中

ご覧の通りレンガ造りの年期ある室。
菊美人酒造株式会社_麹室のドア
注目はドアの部分の厚さ。
最近の麹室だと断熱材が優れている為、麹室の壁はこんなに厚さはありません。

しかし昔の麹室というのは、断熱材に「モミガラ」が使用されていたそうでで、この厚い壁の中にはぎっしりモミガラが詰まっているとの事。

写真は仕込み部屋。
菊美人酒造株式会社_仕込み部屋 菊美人酒造では酒造りに用いる米は福岡の糸島産の山田錦、筑後地方の夢一献。
酒蔵の傍らを流れる矢部川の伏流水を使用し柳川杜氏が酒が造られています。

この地は農業の国で、汗を流して働く人が多く、肉体労働すると甘味も塩味も欲しくなります。
柳川の特産品であるウナギ飯も甘い醤油で味付けされており、そういった味付けには淡麗な酒よりも濃醇な酒の方が良くあいます。

そういう食の背景からこの地で造られる酒は飲みごたえがある醇口の酒が特徴で、蔵のコンセプトも福岡らしい旨味の酒。

造る酒の9割が地元消費であり、最近では海外へに輸出(アジア方面)が伸びているとの事ですが、まだまだ地元が主体の酒。
その為、地元の食に調和した酒を造られているとの事。

写真は蔵に置かれていた使い込まれた木桶。
菊美人酒造株式会社_木桶
この木桶は仕込みタンクを冷却する「ジャケット代わり」に用いられているその事。

この木桶の中に、小型の仕込みタンクを入れて、木桶に氷が入った冷水を入れてることで仕込みタンクを冷やすとのこと。

写真は槽場です。
菊美人酒造株式会社_槽場
菊美人酒造には3機の槽があり、かつてはヤブタ式の自動圧搾機を用いていたそうですが、今は全量を槽で搾られているとの事。

訪問の証の記念撮影。
菊美人酒造株式会社_記念撮影
北原白秋の残した書に驚く吾郎。

蔵元は純米で特に「ぬる燗」にして美味しい酒を造って行きたいとの事。
純米にこだわる理由として、最近だと海外市場で日本酒を販売する際に本醸造の説明がしにくいとか。それと純米酒だと各県との違いが現れ、面白さを表現しやすい。

また九州は韓国や中国にとても近く、ソウルには一日9便も飛行機が飛んでいて、九州にはアジアを注目している酒蔵が多いとのこと。
菊美人もその一社で、9代目蔵元は頻繁に中国や韓国に行かれて、新たなる日本酒市場開拓を開拓していきたいとの事です。
今後の発展を期待する酒蔵です。




商品の購入・質問は菊美人(きくびじん)|菊美人酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:0944-62-3001菊美人、九州男児醸造元菊美人酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

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