2012年04月26日

山の寿(やまのことぶき)|山の壽酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 255蔵目

山の寿(やまのことぶき)|山の壽酒造株式会社

福岡県久留米市北野町乙丸1
蔵元のサイト:http://yamanokotobuki.seesaa.net/


酒名:山の壽(やまのことぶき)、山の寿 ■創業:1818年(文政元年)7代 ■杜氏:久留米杜氏 ■仕込み水:中硬水 ■訪問日:2012/4/26

代表銘柄
山の壽 純米吟醸
山の壽 純米酒

久留米市北野町、この地は筑後平野の中でも米の産地であり、かつては北野町だけで6社も酒蔵があったそうです。

現在北野町には3社の酒蔵が稼働していますが、その1社が福岡の新進気鋭として最も注目されている山の壽酒造株式会社です。
山の寿(やまのことぶき) 山の壽酒造株式会社|外観
山の壽酒造株式会社は1818年(文政元年)に創業した現在7代続く酒蔵です。

この地は筑後平野の中でも豊富に米がとれる地域で、創業者はこの地の地主(庄屋)をされており、酒造業に参入したと伝えられています。

蔵が創業したのは1818年(文政元年)ですが、文化期(1804年〜17年)は豊作続きであった事から、幕府は文化3年(1809年)に「酒造勝手造り令」といって酒造業参入の規制緩和を行います。
創業者は庄屋をされていたという事ですから、この規制緩和をチャンスに酒造業に参入されたのではないでしょうか。幕末に創業したという蔵はとても多く見られます。

「酒造勝手造り令」によって、文政期(1804年〜29年)にかけて全国的に酒蔵の数は増加しますが、新規参入が増えたことで酒造業者間の競争が激化し酒価が下落します。
そこで幕府は文政8年(1825年)に酒造勝手造り令を撤回します。

次の天保期には飢饉や天災が続き、米の価格は高騰。幕府は減醸令を度々出して酒造業に対する規制を強化していきます。
そして天保3年(1832年)、幕府は「株改め」を行い、酒蔵に対して冥加金を賦課。酒蔵に与えたダメージは大きくかったそうです。

蔵は豊作で景気が上向きだった文政年間に創業されたものの、その道程は決して平坦ではなく、創業者当初から様々な苦労の末、現在に至った事が想像できます。

写真の方は8代目予定の山口郁代さん。
山の寿(やまのことぶき) 山の壽酒造株式会社|山口郁代さん
蔵の当主には代々「伊平」という名が世襲されていて、女性の郁代さんも例外ではなく8代目に就任した際には山口伊平を名乗られるそうです。

福岡の酒蔵の多くは「平成3年に発生した台風19号」によって、大きな被害を受けます。
城島の酒蔵のほとんどが瓦を飛ばされ、瓦の生産が間に合わないことから、酒蔵の多くは近代的な外観に姿を変えたわけですが、山の壽酒造の被害は特に大きく蔵は全壊し酒造設備の殆どを失います。

蔵元は酒造りを止めるか再建すべきか悩んだ結果、2年間休業後酒造りを復活。新生「山の壽」が誕生します。
新しくなった山の壽が目指す酒とは、車に例えるなら国産車ではなくイタリア車のような酒。

写真の方が新生・山の壽の立役者、忽那(くつな)信太郎杜氏。
山の寿(やまのことぶき) 山の壽酒造株式会社|忽那信太郎杜氏
大学卒業後、広島の酒蔵に蔵人として就職。数社の酒蔵で経験を経て2007年に山の壽酒造で杜氏として酒造りを始められます。
1977年生まれの34歳。

以前勤めていた広島の酒蔵の蔵元の話によると、当時からご覧のようなヘアスタイルをされていて、蔵元から「その髪の色を何とかしなさい」と注意をされた後、もっと金、金に染めなおして蔵に現れたとか。

山の壽が美味しい理由?「それはオレが造った酒だから」。
写真の通り「大胆不敵」な一面を持つものの、本当のところはとても真面目な性格。

北九州出身の杜氏は、福岡の酒の印象について「福岡の酒は似たものばかり」と語りました。

福岡の酒蔵の多くは、かつて灘の大手への桶売りに依存する部分がありました。
大手の指示に従い、高く買ってもらえる酒を造るうち、福岡らしさというのが形成されず似たような酒が多い。
今の福岡酒に福岡らしさが見えてこない、飲んでも解らない、利いても答えが帰ってこない。

そう思っていた杜氏は、小さな頃から目立ちたがり屋だっとという性格が手伝い、福岡らしくない酒、存在感がある酒を目指されます。

福岡で今まで無かったタイプの酒、イタリア車のような酒。
もっと派手なデコトラのような酒を造れば100%存在感を発揮する事が出来る。

写真が、そのコンセプトで造られた山の壽山の寿(やまのことぶき) 山の壽酒造株式会社 山の壽
ご覧の通りのビジュアルです。
中身が派手なので外観も負けないように派手にしました、との事。

先ずお客様は外観を見て「何だこの酒は」と期待され、酒を口にされます。
当然、中身のお酒も凄い酒なので、飲まれた方は「外観も凄いけど味も素晴らしい酒だ」と感動されます。そんな酒を目指されているとの事です。

写真はもう一つの酒「山の寿」。
山の寿(やまのことぶき) 山の壽酒造株式会社|山の寿
この蔵には「山の寿」という酒名と、旧字体で書く「山の壽」の2種類があります。

社名に用いられている旧字体の山の壽が限定流通商品で、山の寿は従来の流通の商品との事。

造り手、酒の中身、そして酒の外観、全てにおいて強いインパクトがある、福岡の新進気鋭。
日本酒ファンには要注目の蔵元です。

最後に訪問の証の記念撮影。
山の寿(やまのことぶき) 山の壽酒造株式会社|記念撮影
杜氏の提案で、山の壽の兜を被って、タンクから姿を表している場面を記念に撮影。
ちなみに兜は杜氏がヘルメットをベースに自作されたもの。

今まで255社の酒蔵を回りましたが兜をかぶってタンクから現れるというのは始めての体験。調子に乗ってポーズを決める吾郎でした。




商品の購入・質問は山の壽(やまのことぶき)|山の壽酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:0942-78-3025山の壽、山の寿醸造元山の壽酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

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