2012年04月05日

千歳鶴(ちとせつる)|日本清酒株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 240蔵目

千歳鶴(ちとせつる)|日本清酒株式会社

札幌市中央区南3条東5丁目2番地
酒名:千歳鶴(ちとせつる) ■創業:1872年(明治5年) ■杜氏:社員杜氏(無所属) ■仕込み水:中硬水 ■訪問日:2012/4/5

代表銘柄
千歳鶴 なまら超辛
千歳鶴 純米 芳翔
千歳鶴 大吟醸 吟風

人口192万人、名古屋市に次ぐ全国で4番目に人口の多い北の都市札幌。
日本酒の消費量も多く、冬は寒く地下水は酒造りに適した中硬水。
市場、気温、水と酒つくりに適した条件が整った街ながら、現在札幌に存在する酒蔵は1件のみ。

その札幌唯一の酒蔵が歳鶴(ちとせつる)という酒を造る日本清酒株式会社です。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|外観

千歳鶴を造る日本清酒株式会社は、札幌に開拓使が置かれてまもない明治5年に柴田與次右衛門(しばた・よじうえもん)によって創業した現在で140年の歴史を持つ酒蔵です。

石川県の能登半島に住んでいた與次右衛門(よじうえもん)氏は、父と共に札幌に移住。
開拓使が置かれて間もない明治5年に、現在蔵が建つ場所の近くに「柴田酒造店」を創業します。
今では札幌市の中心街ですが、当時は柴田酒造店の周囲には家が10件程度しか無かったとの事。
開拓使と共に入植をした、北海道における酒造業の先駆者的な存在でした。

創業当初は日本酒ではなく「どぶろく」を製造し開拓使の人々に販売。
というのは当時は透明の日本酒と、濁ったどぶろくと免許が異なり、日本酒の免許を取得するには、高額なお金を必要としました。
やがて札幌に沢山の人々が集まり商売が繁盛したことから晴れて清酒の免許を取得。
札幌の街全体が発展するにつれ酒蔵も増え、最盛期には80件を超える酒蔵があったそうです。

写真の方は千歳鶴ミュージアムの館長、久保敬一さん。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|館長
今回蔵をご案内していただきました。

札幌の発展と共に成長してきた柴田酒造店ですが明治30年に周囲の酒蔵と結合し「札幌酒造合名会社」を設立。

更に大正から昭和にかけての恐慌により、政府の企業合同の要請に応え昭和3年に8社が結合し「日本清酒株式会社」が設立。当時は日本酒だけではなく味噌の製造や、問屋の卸場など幅広く商いをしていたため社名には「酒造」の文字がありません。

昭和の結合後にも札幌には18件ほど酒蔵が残っていたそうです。

千歳鶴という酒名は、結合した際に片岡という蔵が所有していた商標です。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|商品
日本清酒株式会社千歳鶴の商標を引き継ぎ、このが現在の主力銘柄になります。 札幌の酒蔵なのに「千歳」という酒名が付いているのは、そのような経緯からだそうです。

北海道の地酒は全体的には淡麗辛口の酒を造る蔵が多いとの事ですが、千歳津の酒も同様の辛口のお酒が中心。
その理由として、蔵の仕込み水である豊平川の伏流水が中硬水で辛口の酒が造りやすいこと。
それに加えて越後杜氏が酒造りをしてきた経緯から、蔵の味としてスッキリした辛口の酒が中心との事。
なかでも「なまら超辛」という酒は、札幌の飲食店の意見を聞いて「どういう料理にも合う酒」として考案して造られた酒。後味がすっきり感が強い酒で、日本酒とは合わせにくいコッテリした濃い味付けの料理にも対応できるとのこと。

また最近では北海道でも育てられる米も増えて、吟風や彗星といった酒造好適米も現れています。
蔵が特に力を入れている米は、現在開発中の「空育177」という品種。
社長自ら田植え、稲刈りに携わっている米で、5年前から鑑評会にも「空育177」で出品しているとの事。
まだ金賞は受賞していないとの事ですが、まだ開発段階の米なので今後の活躍が楽しみです。

酒造期が終わっている為、解りにくいのですが写真は釜場です。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|釜場
最盛期には約10万石の酒を造っていたという事もあって、釜場の設備構成として機械による洗米と連続蒸米機。
造りが終わっている為、写真に納められていませんが、出品酒や一部の大吟醸は手作業による洗米と限定吸水が行われ和釜が用いられています。

写真は放冷機。連続蒸米機と壁一つ隔てた隣に置かれています。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|放冷機
連続蒸米機を用いて米を蒸す工程は、洗った米を蒸してこの放冷機に通すまでコンベアーで運ばれるプロセスが完成されています。

それに対し出品酒や一部の大吟醸の仕込みに用いる蒸米は、それらの隙間に配置されている為、米の運搬は手作業。
蒸し上がった米は人が掘るのは当然の事、隣の部屋の放冷機まで蔵人リレーでこの放冷機の入り口まで米を運んでいるとのことです。
放冷機の長さから蒸米の規模が伺えます。これだけ長いと清掃も大変そうです。

ちなみに放冷機の出口から麹室の入り口まで20メートルくらいの距離があります。出品酒や大吟醸はシューターを使わずに手作業で運搬されているとの事。 こんな重労働の中、14年連続で金賞を受賞した経歴を持つわけですから、蔵人たちの努力は大変だと思います。

写真はOS式の製麹機です。 千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|OS製麹機 床
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|OS製麹機
これらの製麹機は放冷機の出口のすぐとなりに配置されています。
出品酒や一部の大吟醸酒を除く、一般のお酒はこの製麹機で麹が造られているとの事。

それに対し出品酒や大吟醸酒の麹を造る室はこちらです。 千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|吟醸麹室の外
位置的には放冷機の出口の先には上記の自動製麹機があり、その先にこちらの麹室があります。
蔵人はここまで蒸し米をリレーして手作業で運んできます。

出品酒の麹を造る際には、蔵人は麹室の入口で寝泊まりして24時間体制で麹造りをされているとの事。
そんな所に寝ていて寒くないのかきいたところ、麹室は外の入り口あたりまで充分にあったかいとか。

冬の麹造りは温かさが加わり睡魔との戦いとのことです。

中はこんな感じです。 千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|吟醸麹室
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|麹室2
一升盛の麹蓋法にて丹念に麹が造られます。
大きな蔵でも手作業の部分はきっちり丁寧に行われています。
蔵全体が大きな仕込みを中心に設計されていますので、逆に手作業の部分は小さな蔵よりも苦労は大きいかもしれません。

こちらは仕込み部屋を下から撮影したもの。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|仕込み部屋
この仕込み部屋に置かれているタンクの数は70本。
もう一つ仕込み部屋があり、そちらにも70本のタンクが置かれているとか。
さすがかつて10万石も造っていた蔵だけあります。

写真は槽場です。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|槽場
ヤブタと呼ばれる圧搾機が5台も並んでいます。

隣には槽が3台並んでいます。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|槽

写真は蔵に併設されている千歳鶴ミュージアムANNEX。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|ミュージアム
札幌に来たからには必ず食べて帰りたいのが札幌ラーメン。
蔵に併設されている千歳鶴ミュージアムANNEXには、札幌の有名なラーメン店「すみれ」が入っていました。
千歳鶴に蔵見学に行かれた際のお昼ごはんはこのラーメン店がオススメです。

また千歳鶴が飲める直営レストランが札幌市内に3件あります。
気軽な立ち飲みスタイルのお店からから割烹まで。
千歳鶴ミュージアムANNEXに直営レストランの地図も用意されているので、札幌の夜は千歳鶴が楽しめるお店で食事をされてもいいかもしれません。

千歳鶴ミュージアムANNEXにて訪問の記念撮影。
千歳鶴(ちとせつる) 日本清酒株式会社|記念撮影
千歳鶴ミュージアムANNEXでは、蔵の仕込み水も飲むことが出来るのですが、なんと水の飲み方が面白く写真のように上からかけ流しで垂れ落ちる仕込み水をコップで受け止めます。

千歳鶴の自慢の一つがこの仕込み水で、140メートルから組み上げる天然水。
洞爺湖、支笏湖の水が豊平川に入り、豊平川から浸透した地下水が使用されています。
マグネシウム・鉄分は未検出なので一切濾過せずに酒造りに用いる事が出来るとか。
この水がなければ蔵が成り立たないとの事です。
自慢の仕込み水を変わった提供のされかたに驚いている吾郎でした。




商品の購入・質問は千歳鶴(ちとせつる)|日本清酒株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:011-221-7040千歳鶴醸造元日本清酒株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。 北海道は札幌の酒蔵。千歳鶴(ちとせつる) という名の日本酒を造る日本清酒株式会社の訪問記。

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