2011年11月29日

ヤマサン正宗|株式会社酒持田本店

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 233蔵目

ヤマサン正宗|株式会社酒持田本店

島根県出雲市平田町片原町785
酒名:ヤマサン正宗古滴(こてき) ■創業:1877年(明治10年)10代 ■杜氏:出雲杜氏 ■訪問日:2011/11/29

代表銘柄
ヤマサン正宗 特別純米酒 誘一献
ヤマサン正宗 純米吟醸
古滴 三年熟成古酒 純米大吟醸

ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|外観
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|玄関
宍道湖と日本海の間に位置する出雲市平田町。
この地は宍道湖や日本海に近く、古くから水路が発達していたことから江戸末期から明治時代にかけて、木綿の集積地として栄えた商業の街。
現在も「木綿街道」として古い町並みを残し、私が訪問したのは平日でしたがカメラを手にした人々の姿を多く見ました。

木綿街道は水が良かった事から、全長300メートルほどの通りの中に3件の酒蔵と、3件の醤油蔵が存在していたそうです。
現在は醤油蔵は3件とも残っていますが、酒造りを続けている蔵は1件のみ。

その平田町に唯一残る酒蔵がヤマサン正宗古滴(こてき)という名の酒を造る株式会社酒持田本店です。
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|店内
株式会社酒持田本店は明治10年、持田家三代目の持田栄太郎氏によって創業した130年以上の歴史を持つ酒蔵です。
創業当時の屋号は「持田栄太郎商店」といい、当時から「ヤマサン正宗」の名で酒を造られていたそうです。

写真は明治時代に建てられた「出雲国酒造試験場」。
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|検査室
栄太郎氏は蔵の中に醸造試験所を設け、広島税務監督局(現在の広島国税局)から技師、兵庫・灘から杜氏を招き酒質の向上に務めます。
そして大正3年には1572石(283キロリットル)を製造する酒蔵に成長。 当時山陰地方ではトップクラスの酒蔵へと成長されたそうです。

地元の酒として地元を中心に消費されてきたヤマサン正宗ですが平成時代に入ってから県外にも出荷されていきます。
県外に出荷されるきっかけとなった酒が純米大吟醸 無濾過生原酒。
蔵は平成時代に入った頃から既に無濾過生原酒を手かげられていたそうで、現在は吟醸以上の酒は無濾過生原酒。
県外に出荷されている酒はほぼ無濾過生原酒だそうです。

「無濾過生原酒」は、搾った後に手を加えることが出来ないので、搾った後が最高の状態になっている酒を造る必要があるとの事。 それが今の杜氏の腕の見せ所だそうです。

酒造りに用いている米は、佐香錦 五百万石そして地元島根産の山田錦の3種類のみ。
全て島根県産の米で酒造りをされています。

写真は仕込み部屋。
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|仕込み部屋
またヤマサン正宗では、複数のタンクで仕込んだ酒を調合せず、それぞれのタンクごとにタンク番号を付与し商品化をされているのが特徴。

一般的にレギュラークラスのお酒となると、ある程度の製造量が必要となるため複数のタンクに分けて仕込みが行われ、醸造を終えた酒は調合タンクで一つにまとめられ味を均一化させて商品化されます。

ヤマサン正宗では、純米酒や純米吟醸クラスの酒をタンクを何本にも分けて仕込みますが調合はしません。
それぞれのタンク番号を付与するなどをし別々の商品として扱われます。

その理由は、例えば同じ佐香錦を原料に用いた純米吟醸でも、酵母が異なれば味が異なります。
原料・スペックを統一させ、酵母を換えてみて複数の仕込みを行ったり、或いは酵母・スペックを統一させ、米を佐香錦、山田錦と換えて仕込むことで、酒の味のバリエーションが広がります。

日本酒の味の奥は深く、米を変えることによる味が変化します。
酵母を変えることによっても味が変化します。
更にはそれらを熟成年数が変えることによって味が変化します。

味の懐がとても深く、同じスペックの酒でも酵母を変えて仕込むことによって客さまにとってもうれしい発見が得られるのでは?
変化を悪と捉えるのではなく、酒を生き物として時間の経過と供に代わっていく味を楽しんでいただきたい、という考えからこのようにタンクごとに商品化されているそうです。

写真は古滴(こてき)という名の長期熟成酒。
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|古滴(こてき)
ヤマサン正宗が原酒の他に手がけているのが、長期熟成酒。

きっかけは蔵元の単なる嗜好で、毎年少しづつ蓄えていたのですが、県外の取引先などがその古酒を見つけて、その酒を仕入れて売りたいという酒屋が現れます。

丁度その頃に、東京で出版関係の仕事をされていたという、蔵の後継者となる持田裕輔さんが30歳を転機に蔵に戻って来られます。 その裕輔さんが古滴(こてき)というブランドを造り正式として商品化されます。
一番寝かしている酒で16年。売れ筋は3〜6年の古酒だそうです。

写真は出雲杜氏のベテラン、加藤功杜氏。
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|加藤巧出雲杜氏
若い造り手とベテランの造り手が混在する出雲の酒蔵において、酒持田本店ではベテランの出雲杜氏が酒造りを行なっています。
杜氏歴は25年、この蔵で酒造りを行なって37年。

出雲杜氏も変化していき通年雇用の社員杜氏もいれば、蔵元自らが酒造りを行う蔵元杜氏もいます。
私のような昔ながらの季節雇用で杜氏は少なくなりました。松江でたったの3人です、との事。

写真は麹室です。
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|麹室
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|駒
これは「駒」と呼ばれている下駄のような役割の道具。必要に応じて駒を箱麹の下にかませ、箱麹の下から通気させます。

長年使用されているようで、角が丸くなっています。

写真は酒母室。 ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|酒母室
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|酒母
酒母(しゅぼ)とは、お酒を醸造する際にスターターとなる、酵母菌が強く発酵した状態の小さな醪(もろみ)のようなもので「酛(もと)」とも呼ばれています。

米を発酵させる最中、雑菌に侵されないためは仕込みタンクの中は酵母菌が完全支配する世界に保つ必要があります。
その為いきなり大きなタンクの中で仕込みを行うのではなく、小規模な酒母タンクにて酒母(しゅぼ)と呼ばれる、後に醪(もろみ)へと成長させる為のパーツを作ります。

タンクの中に斜めに入っているのは「抱き樽」と呼ばれる、酒母を温めたり冷やしたりするために使われる容器。
島根の酒蔵では、どの蔵でも写真のような細長い抱き樽が使われていました。
出雲杜氏流なのでしょうか。

写真は槽場。
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|槽場
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|槽

最後に訪問の証の記念撮影。
ヤマサン正宗 株式会社酒持田本店|記念撮影
一般的に酒蔵では新酒が出来た際、蔵の玄関などに杉玉が飾られます。
しかしヤマサン正宗では杉玉ではなく青竹が用いられているとの事。

私が訪問した時期はこれから新酒が出来上がるという11月下旬でしたので、ご覧のように青竹ではなくなっていました。
蔵から説明を聞き関心する吾郎でした。




商品の購入・質問はヤマサン正宗|株式会社酒持田本店へお問い合せ下さい。
TEL:0853-62-2023ヤマサン正宗醸造元株式会社酒持田本店
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。 島根県出雲市の酒蔵。ヤマサン正宗という名の日本酒を造る株式会社酒持田本店の訪問記。


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