2011年11月28日

七冠馬(ななかんば)|簸上清酒合名会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 230蔵目

七冠馬(ななかんば)|簸上清酒合名会社

島根県仁多郡奥出雲町横田1222番地
酒名:七冠馬(ななかんば)、簸上正宗(ひかみまさむね) ■創業:1712年(正徳2年)15代 ■杜氏:出雲杜氏 ■仕込み水:中軟水 ■訪問日:2011/11/28

代表銘柄
七冠馬 特別純米
七冠馬 純米吟醸 一番人気
簸上正宗 大吟醸 玉鋼

島根県安来市から更に山間部に位置する奥出雲町。

冬には1メートル以上は積雪するというこの地で、2012年に300周年を迎える、島根の酒蔵の中で2番目に歴史が長いという酒蔵が七冠馬(ななかんば)簸上正宗(ひかみまさむね)という酒を造る簸上清酒合名会社です。 七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|外観
簸上(ひかみ)清酒合名会社は、正徳2年(1712年)に酒造業を始めたと言われている2012年には300周年を迎える酒蔵です。 創業当時の屋号は冨田屋(とだや)といい、蔵元は室町時代から続く家で、江戸時代は庄屋のような存在だったそうで米が沢山あったことから酒造業を始めたのではないかと推測しています。

明治43年に町内の酒蔵を吸収合併し、その時に地元の地名から簸上正宗(ひかみまさむね)という酒名が誕生。 斐伊川(ひいかわ)の河川工事にて移転を余儀なくされ、昭和45年に現在の場所に移転し写真にある鉄筋の酒蔵が建てられます。

簸上清酒は「泡なし酵母 発祥の酒蔵」。
七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|泡なし酵母
この蔵で「泡なし酵母」が発見されたのは昭和37年。
杜氏、蔵元ともに先代の時代です。

「普通ならばタンクいっぱいに真っ白な高泡があるはずなのに、時々それが出来ないタンクがある」と、杜氏が泡の立たない醪(もろみ)を発見します。

蔵元は不安に思い原因究明のため、広島の国税局に醪(もろみ)の一部を持って行きます。
そして東京滝野川・国税庁醸造試験場技官 秋山祐一氏(元 財団法人 日本醸造協会会長)の研究によって、酵母が突然変異した事によって泡がでない事を解明。
協会泡なし酵母が誕生します。

泡なし酵母の利点ですが、泡の掃除や吹きこぼさない為の労力が無くなります。
泡がないことによって、密閉タンクと呼ばれる貯蔵に優れたタンクを用いて酒を仕込むことができます。密閉タンクは醸造が終わった後は貯蔵に用いる事が出来ので、新たに貯蔵タンクを購入するなら密閉タンクを購入すれば、仕込みにも使え貯蔵にも使えます。
製造面や運用管理面でメリットが現れます。

逆にデメリットとしては、泡が出ていたときは、泡の状態で発酵の進み具合が想像できたそうですが、泡がなくなった事で醪の状態が目による判断しにくくなった事だそうです。

写真の方は出雲杜氏の松本年正さん。
七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|松本年正杜氏
松本 年正杜氏は昭和55年にこの蔵に来て酒造りを開始。平成8年に杜氏に就任されます。
杜氏に就任した初年度から、いきなり5年連続で全国新酒鑑評会受賞。

かつて出雲杜氏の人々の中で、一生のうちに一度とれたら夢と言われていた「出雲杜氏自醸清酒品評会最優秀賞」を3年連続で受賞されているベテランの凄腕杜氏です。

現在、出雲杜氏は21名。かつてはその3倍もいたそうです。
現在出雲杜氏の多くは島根、鳥取、広島、山口の酒蔵で酒造りをされているとの事。

写真は麹室。
七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|麹室
七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|麹蓋 簸上清酒の看板商品、「大吟醸 玉鋼」は、一升盛の麹蓋で麹が造られます。
杜氏に手に持たれている木製のカップは、丁度、お米が1升入るサイズだそうです。
これを用いて一つの麹蓋で1升づつ麹を造っていきます。

写真は酒母室
七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|酒母室

杜氏さんの話によると島根県の地酒の特徴は「濃ゆい味のお酒」との事。
特に簸上清酒のある奥出雲は冬が寒く、その昔は産業といえば体を動かく肉体労働が中止だったそうです。
その為、淡麗な酒より濃醇な酒のほうが「酒を飲んでいる気分になれた」そうです。

また島根ではたまり醤油といわれる濃くて甘い醤油が用いられていて、食との相性でも濃い酒のほうが合うとの事。

また出雲杜氏によって酒造りが行われてきた土地であり、杜氏から杜氏へ技が引き継がれてきた背景から、濃醇な味が出る酒造りが島根全体に浸透したのではないでしょうか。
ただ最近では、労働条件が良くなり島根でもパソコンを使い座って仕事をされる方も多くなりました。
昔ほど濃醇だと濃すぎるため、人々の味覚の変化に合わせた酒造りをしています。
とお話しして下さいました。

写真は仕込み部屋
七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|仕込み部屋

写真は槽場
七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|槽場
写真はお酒を搾る、圧搾機です。 手前の白い部分が酒袋で、ここに醪(もろみ)が入っていて、圧力が掛けられて搾らて、手前の金属製の垂れツボに酒が溜まります。
圧力はコンピューターで制御されており、ご覧のように無人状態でも酒を絞ることができます。

写真の圧搾機はかなりよい物で、酒袋がパッキンになっていて取り外しがしやすく、業務用の洗濯機で洗いやすく設計されています。酒袋などのクセがつきにくく、よい酒を搾ることが出来ます。

訪問の証の記念撮影です。
七冠馬(ななかんば) 簸上清酒合名会社|記念撮影
七冠馬という名の酒は平成7年に、蔵が県外向けに売り出す酒として誕生したブランドです。

東京市場にお酒を販売するにあたり、簸上正宗(ひかみまさむね)という酒名だと、東京をはじめ県外の消費者は読むことが出来ません。
地元では馴染めても県外では定着しないだろうと、新たなブランドを考えられます。
蔵元の妹さんが、初代七冠馬であるシンボルルドルフのオーナー、シンボリ牧場に嫁がれた事から、七冠馬という酒名が誕生したそうです。

味は島根の酒の特徴である、芳醇旨口の食中酒。
あと杜氏の力作である、大吟醸 玉鋼もご贈答などで地元はもとより県外市場でもよく売れているとの事。
ブランド誕生のお話を聞かせてもらい感心しながら商品を眺める吾郎でした。



商品の購入・質問は七冠馬(ななかんば)|簸上清酒合名会社へお問い合せ下さい。
TEL:0854-52-1331七冠馬、簸上正宗醸造元簸上清酒合名会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

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