2011年10月11日

水尾(みずお)|株式会社田中屋酒造店

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 221蔵目

水尾(みずお)|株式会社田中屋酒造店

長野県飯山市大字飯山2227
酒名:水尾(みずお) ■創業:1873年(明治6年)6代 ■杜氏:飯山杜氏 ■仕込み水:軟水 ■訪問日:2011/10/11

代表銘柄
水尾 特別純米酒 金紋錦
水尾 純米吟醸
水尾 辛口

長野県の北部に位置する飯山市。
新潟県と隣接するこの地は、冬は沢山の雪が降る豪雪地帯ながら米作りが盛んで、野沢温泉村、栄村、木島平村、飯山市は県内有数の米の産地。
2009年のお米の鑑評会では、上位30の生産者の中、10の生産者がこの地の農家だったそうです。

米に恵まれ、天然水にも恵まれ、冬は寒冷地という、酒造りには好条件な場所。
そんな飯山市、現在日本酒ファンの間で注目されている酒が水尾です。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|外観
水尾という名の日本酒を造る株式会社田中屋酒造店は、廃藩が行われた翌々年の明治6年、田中 貢一氏によって創業した5代続く酒蔵です。

田中 貢一氏は元々は、武田 貢一といい、武田信玄の甥に当たる武田義勝の末裔と言われています。

新潟県に国の重要文化財に指定されている笹川邸という建物が有るそうですが、そのルーツは甲斐の武田家の出といわれ、武田氏の滅亡後この地に移住し、苗字を笹川に変えて生活したと言われています。
その笹川邸の資料に武田 貢一氏の名前が残っているとの事。

飯山市の笹川という村には50件ほどの家があるそうですが、全ての家が武田の苗字だそうで武田家の末裔といわれています。
貢一氏は幕末に養子として笹川村から田中家に来ます。

江戸時代の飯山藩の城下町の地図。指をさしている場所が現在の蔵元が位置する場所。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|昔の地図
田中家は、元々は飯山藩の城下にて薬観屋(やかんや)の屋号で商いをしていた商人でした。

元禄11年(1698年)に記された飯山町の地図には「薬観屋 市郎衛門」の名が記されており、その位置が現在の田中屋酒造店と同じ場所である事から、その既にはこの場所で何らかの商いをされていた事が解っています。

宝暦9年(1759年)に、薬観屋 市郎衛門は町年寄の見習いとして、町政を司る町役人に取り立てられ、宝暦13年(1763年)には町年寄に昇格。

そして天明5年(1785年)には田中姓を許され、飯山藩から士分に取り上げられます。
江戸後期になると商人が財を蓄え、対照的に士族は借金を重ねていきます。
商いによって力を得た商家に対し、藩は名誉職的に武士の身分を与えたのではないかと思われます。

幕末には、高い身分ではありませんが士族化していったそうです。
その田中家に、笹山村から武田 貢一氏が養子として来ます。
そして明治時代、酒造業の自由化の際に、これをチャンスと酒造業に参入します。

写真の方は6代目蔵元、田中 隆太さん。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|田中 隆太蔵元
この地でしか造れない酒を造りたい。
仕込み水はこの地で最高に良いもの探し、何箇所も汲んで回って分析し、利き水をし、最終的に水尾山の水を選びました。

米は極力契約栽培による地元の米を使い、味の基本はこの地域の嗜好に合わせる。
地元の米と水を用い、地域の嗜好を絡めて、酒の味をデザインしています。との事

写真が現在の主力商品「水尾」。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|商品
田中屋酒造店は、かつては「養老」という名の酒を造っていましたが、田中 隆太さんの代になり水尾(みずお)が誕生します。

味のコンセプトは「香りよく後切れの良い軽い酒。後味が軽いスムーズな酒」。

この地域では後味のキレが良くスムーズに飲める酒じゃないと受け入れてもらえないし、蔵元自身もそのような酒質の酒が好きとのこと。
長野県の最北にある飯山市は、野菜文化・漬物文化圏であり、新潟にも近いせいがあるのか、後切れの良い辛口の酒が好まれるそうです。

蔵元が造りたい酒に適した水を探そうと、軟水を探すわけですが水尾山で良い水に出会います。
蔵は水尾山までタンクで水を汲みに行き酒造りに用いています。

米は8割が地元農家の契約栽培米を使用。
車で5分くらいの場所にある木島平の金紋錦、同様に蔵から車で10分以内にある飯山のひとごこち。
あと、しらかば錦の3品種を使用。

1994年に誕生した水尾ですが当時はごく一部の商品のみでした。 しかし現在では蔵が造っている酒の大半の酒が水尾ブランドに至っています。

写真はこの蔵の杜氏、鈴木政幸さん。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|飯山杜氏
地元の農家の方で、秋になったら蔵に訪れる昔ながらの季節雇用。流派は飯山杜氏。

飯山杜氏は長野県にある杜氏4派(諏訪杜氏、小谷杜氏、佐久杜氏、飯山杜氏)の一つ。
飯山杜氏会という会があり結構な人数が登録されているそうです。

写真は釜場です。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|釜場

写真は麹室。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|麹室
私が訪問した10月上旬はまだ造りが始まっておらず準備中でした。

写真は酒母室です。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|酒母室
とても感じのよい酒母室。こちらもまだ準備中でした。

写真は仕込み部屋
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|仕込み部屋
ジャケットに冷水を流すために配管が施されています。

写真は貯蔵庫。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|貯蔵庫
部屋ごと冷蔵倉庫になっていて、タンクやビンで貯蔵されていました。

訪問の証の記念撮影。
水尾(みずお) 株式会社田中屋酒造店|記念撮影
水尾は辛口で後切れの良い軽い酒と言いながらも、新潟県の淡麗辛口とは異なり、長野の酒の良さを残しつつ新しい感覚を取り入れ、これからの世代の酒として可能性を感じました。

また蔵元の田中 隆太さんは人当たりがよく、応援したくなる人柄の方です。
酒造りに取り組まれる姿勢も良く、もっともっと知られるべき地酒だと思いました。
水尾を手に取り感心する吾郎でした。




商品の購入・質問は水尾(みずお)|株式会社田中屋酒造店へお問い合せ下さい。
TEL:0269-62-2057水尾醸造元株式会社田中屋酒造店
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

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