2011年10月10日

北信流(ほくしんりゅう) |株式会社松葉屋本店

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 218蔵目

北信流(ほくしんりゅう) |株式会社松葉屋本店

長野県上高井郡小布施町大字小布施778
酒名:北信流(ほくしんりゅう)、本吉野川(ほんよしのがわ) ■創業:江戸中期 14代 ■杜氏:社員杜氏(飯山杜氏) ■仕込み水:中硬水 ■訪問日:2011/10/10

代表銘柄
北信流 純米吟醸
北信流 アルプス純米吟醸
本吉野川 上撰

栗と葛飾北斎で有名な土地、長野県小布施町。

小布施栗は京都の九条家に納めていたというこの地を代表する特産品。
北斎が晩年に何度もここを訪れ、作品を残した土地というだけあった北斎に関する文化財が多く、栗のシーズンを迎える秋には毎年多くの観光客がここを訪れます。

その小布施で江戸時代中期から酒造りを続けている蔵が株式会社松葉屋本店です。
北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|外観
日本酒、北信流(ほくしんりゅう)本吉野川(ほんよしのがわ)を造る株式会社松葉屋本店は、江戸時代にこの地を治めた松代藩の御用商人を勤めた、現在14代続く酒蔵です。

創業の経緯ですが、この地の大地主であった市川家は家賃などを米や穀物でいただいていたので、お米などが食べ切れないくらい有ったことから、加工して商売をする事となり江戸中期に酒造業を開始。

お酒だけではなく味噌や醤油も作っていたそうで創業当時の屋号は松葉屋と名乗っていたそうです。

写真は14代目蔵元、市川博之さん。今回、お話を伺いました。
北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|市川博之蔵元
江戸時代には酒造りに欠かせない水に苦労されていたそうで、その理由は小布施は50メートルくらいの所に厚い岩盤があり井戸水が出なかったそうです。

創業当時、蔵は今の場所ではなく山の中腹にあり、横井戸を掘って出てきた水で酒を仕込んでいたそうです。
蔵は何回か移動して現在の場所に落ち着きます。
蔵元の話によると、当時は川などから水を運ぶ「水の運搬業者」がいたそうで、蔵の北西約2.5キロの場所にある千曲川の水を、水運搬業者から買って酒造りをされていたそうです。

現在は小布施の中心に地下150メートルから地下水を汲み上げている集約井戸があり、そこから水を引いてきて酒造りに用いています。
地下から組み上げることで様々なミネラル成分が混ざり中硬水との事。

松葉屋本店では明治時代以前は「吉野川」という酒を造っていました。
明治時代に商標制度が誕生し、先に他の蔵が「吉野川」という酒名を商標登録したため大正時代に「本吉野川」に改名。

本吉野川の商標は現在でも用いられていますが「吉野川」という酒名は、喜多方と新潟にもあります。
これからの時代、全国展開をする事を考えると差別化しにくい名前と考えた蔵元は、1997年頃に「北信流」という新たなブランドを立ち上げます。

写真は現在の蔵の主力商品は北信流
北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|商品
北信流とは真田十万石の城下町だった松代藩で生まれた、お酒の席での「中じめの儀式」です。

宴会が進みお開きの頃を迎えると、招かれたお客様から主催者に対し「この酒の会をひらいた主催者に一献を差し上げたい」と主催者にお酒を次ぎます。
次に主催者から「今日はわざわざ来てくれてありがとう」と盃を返します(献杯します)。
その後は「ゆっくりされたい方はしばらくゆっくりされて下さい。忙しい方はお帰りになって良いですよ」という中じめの儀式だそうです。

かつて松代藩の御用商人として藩にお酒を治めていたので、この蔵が造っていた酒で「北信流」が行われていたのだろうと北信流という酒名を考案されたそうです。

写真はこの蔵の杜氏、杉原逸夫さん。飯沼杜氏です。
北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|杉原逸夫杜氏
私が訪問した10月の祭日は、小布施で最も観光客が訪れる時期で、杜氏さんもお店の仕事を手伝われていました。

松葉屋本店の試みが生酒の長期熟成。 北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|生酒
一般的に生酒は冷蔵保存が必要と言われています。
しかし蔵元はその生酒を常温で長期熟成、しかも暑い場所で貯蔵されているとか・・・。
生酒を長期常温熟成をされる理由を蔵元に聞いて見ました。

熟成の魅力をあえて生で表現しようと思いました。
日本酒は造ってから早くに飲んだほうが美味しいという事は無く、もともと日本酒とは熟成させることによって旨みが乗り、味に幅が出て来る頃に飲まれるものでした。
売れている蔵の酒が美味しくなくなった、という話を聞くことがありますが、一定の熟成期間を置かずにお酒を出荷した事が原因だといわれたりいます。
日本酒はお酒はもっと熟成させるべきであると考えています。

その熟成の魅力を生で表現しようと思いついたのは、先ずはチャレンジすることを大切に考えていること。
それと偶然、蔵の中で生酒を常温で保存していたものを発見、口にしたところとても素晴らしい酒に変わっていた事。

しかもその酒は、開封済みで飲んで減った状態でビンに入っていたものです。
普通、古酒は紹興酒のような焼けた香りが出るのですが、その酒はとても華やかなブランデーのような香りが漂っていました。
後で考えると生酒のフレッシュな香りが華やかな香りに変わったのかもしれません。

生酒の常温熟成は、本来その酒が持つ酒質によるところが多く、全てのメーカーに当てはめる事はできませんが、中硬水を仕込水に用いるウチの酒については常温保存の適性が良い。
だったら「人がしていない事をしてみよう」と生酒の常温熟成を始める事にしました。

生酒を熟成させると熟成が急激に進むので酒は褐色化し、オリが沢山出てくるのが特徴。
製造した際に綺麗な酒質の酒は向いていない思います。
味をしっかり出した酒の方が向いています。

生で熟成すると甘み、丸みが出てくる。その味が自分の好みでもあるので、毎年720mlで100本つづ位の酒を生で長期熟成を行い、試飲会や店頭にて生熟成のお話に興味を持ったお客様に販売しています、との事です。

写真は土蔵の蔵の入り口のドア。
北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|仕込蔵の入り口
「昼間の出入りを禁ずる」と書かれているそうです。

昔この蔵にいいた杜氏が書いたもので、仕込みが行われている冬季は開けっ放しですが、夏場や秋の暑い時期は閉めっぱなしにして下さい、という意味だそうです。

写真は麹室。
北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|麹室

写真は酒母室
北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|酒母室

写真は仕込み部屋
北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|仕込み部屋

現在日本酒は「味の安定性」、何時飲んでも同じ味を重要視されています。
しかしこの蔵元は「お酒の旬」というものを大事にされ、秋飲むとこういう味になる、一年が経過するとこういう味になる、お酒の成長の過程・履歴を楽しんでもらいたい。と語られました。

最後に訪問の証の記念撮影。 北信流(ほくしんりゅう) 株式会社松葉屋本店|記念撮影
生酒の常温長期熟成酒を試飲。

不思議な事に、生ひね香が影を潜めとても甘くまったりした味わい。そして円やかな味わいが特徴。
元の酒は辛口の普通酒と聞いて、とてもそのクラスの酒とは思えない変貌ぶりに驚く吾郎でした。




商品の購入・質問は北信流(ほくしんりゅう) |株式会社松葉屋本店へお問い合せ下さい。
TEL:026-247-2019北信流(ほくしんりゅう) 醸造元株式会社松葉屋本店
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

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