2011年09月29日

相模灘|久保田酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 205蔵目

相模灘(さがみなだ)|久保田酒造株式会社

神奈川県相模原市緑区根小屋702
酒名:相模灘(さがみなだ) ■創業:1844年(弘化元年) ■杜氏:蔵元杜氏
■仕込み水:中硬水 ■訪問日:2011/9/29

代表銘柄
相模灘 特別純米
相模灘 純米吟醸 雄町
相模灘 純米吟醸 山田錦

神奈川県北部にある政令指定都市、相模原。
神奈川県内では横浜市、川崎市についで3番目に人口が多い都市。

都会的なイメージを持たれる人が多い神奈川県ですが、相模市街から車を20分も走らせると山々が現れます。
その山道を進むと、神奈川県とは思えないようなロケーションの中に存在する酒蔵があります。
今、日本酒ファンに注目されている酒、相模灘を造る久保田酒造です。

相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|外観

相模灘を造る久保田酒造株式会社は、弘化元年(1844年)に久保田 惣右衛門氏によって創業された酒蔵です。

惣右衛門氏は、現在蔵がある場所から相模川を下流に行った依知というところで、生糸業を営む商家に生まれました。
商売が繁盛していたのでしょう。生糸業以外にも醤油や味噌の醸造など手広く商いをされていて、1844年に現在蔵が建つ土地にて酒造業を開始されます。

当時は一箇所で味噌、醤油、酒を造ってたのではなく、それぞれの蔵は異なる場所にあり近江商人のように番頭に任せていたようです。

久保田酒造は番頭に経営を任せ、蔵のオーナーは別の場所に住み別の仕事をされる、という状態が長く続きます。次第に番頭が社長化しオーナーは蔵に土地・家屋を貸すという地主のような存在になります。

相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|外観

その久保田酒造に変化が起きたのは1996年の事。
杜氏の経営者が亡くなり、酒蔵をどうするべきかオーナー一族の会議が行われました。

一族それぞれが仕事に就いておられ、その仕事を簡単に止め酒蔵を継ぐことが出来ません。
酒造業の廃業が決まりかけようとしていた時。
相模の最後の酒蔵が無くなる事がとても残念だと考えた末っ子の久保田博さんがサラリーマンを止め、酒蔵を継ぐことを決意されます。

写真の方は、相模灘で杜氏を勤める久保田晃さん。 相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|久保田晃杜氏
久保田晃さんは酒蔵とは全く関係ないサラリーマン家庭に生まれ、小学4年生の時にお父様の仕事の関係で関西に引越されます。

京都の大学に入った18歳の時、上記のオーナー会議にてお父様の久保田博さんが酒蔵を継ぐことを決意されます。
それによって大学卒業後24の時に、久保田酒造に入社し酒造りを始めます。
現在は久保田酒造の杜氏を勤められ、相模灘の顔というべき存在。

久保田酒造の代表銘柄が相模灘(さがみなだ)
相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|商品

晃さんに話を伺うと、神奈川県の地酒の特徴は「トラディショナルな酒」が多いとの事。
首都圏に位置し、情報も多く消費者に近い地域でありながら、モダンな方向に走ったり、逆に極端にクラシックに回帰したり。 そういう事を行う蔵が無く、7号や9号酵母を用い基本に忠実な造りをしているスタンダードな酒蔵が多いそうです。


写真は釜場とその天井です。私が訪問した時期はまだ造りの準備中でした。
相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|釜場

何故、神奈川県にはトラディショナルな酒が多いのでしょうか?
晃さんの話によると、各蔵元のキャラによるものが大きいとの事。

神奈川県には大手の酒蔵が存在せず小さな酒蔵ばかりであり、それぞれの蔵元が自分が好きな酒を造られている傾向が強く「しっかり料理とあわせて飲み続けられる酒」を好む蔵元が多いとの事。

また同時に神奈川の水は中硬水で発酵力が強く、灘の男酒のような骨格が強く日本酒の真ん中を行くような酒が造りやすいそうです。
久保田晃さん自信も華やかなタイプのお酒よりも落ち着いて飲める食中酒が好きだそうで、そのような文化背景と水の特徴から、トラディショナルな酒を造る蔵が多いとの事です。

確かに以前、私が相模灘を試飲した際、派手ではなくとてもスタンダードな酒に驚いた記憶があります。

相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|仕込み部屋
写真は2011年の9月に完成したばかりの仕込み蔵。
私が訪問した時点では「日本で最新の仕込蔵」との事です。

蔵を引き継ぐことを決めて、脱サラし酒蔵経営を開始した久保田博さんは引退し、現在は晃さんが杜氏を務め、弟の久保田徹さんとともに酒蔵を切り盛りされています。

次世代蔵元の一角である相模灘
個性を出そうとする酒が多い中、これだけトラディショナルな酒だと、逆にとても存在感があります。
2011年に仕込蔵を新築された事から、今後はますます真剣な酒造りに取り組む姿勢が伺えます。
これからの活躍が注目の蔵元です。

相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|記念撮影
訪問の証の記念撮影は、完成したばかりでまだ電気が来ていない仕込み部屋にて撮影。
空調完備の真新しい蔵に驚く吾郎でした。




商品の購入・質問は相模灘|久保田酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:042-784-0045相模灘醸造元久保田酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。 しっかり料理とあわせて飲み続けられる酒を造っている蔵が多い。

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