2011年06月15日

福千歳(ふくちとせ)|田嶋酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 188蔵目

福千歳(ふくちとせ)|田嶋酒造株式会社

福井県福井市桃園1-3-10
代表銘柄:福千歳(ふくちとせ)
創業:1849年(嘉永2年) 6代
杜氏:能登杜氏
仕込み水:弱軟水
訪問日:2011/6/15

代表銘柄
福千歳 圓 山廃純米
福千歳 徳 山廃純米吟醸
福千歳 RICE WINE(らいすわいん)

福千歳 田嶋酒造株式会社|蔵の外観

田嶋酒造株式会社は1849年(嘉永2年)に清水町甑谷で庄屋を営む田嶋 豊八氏が創業した酒蔵です。創業当初の屋号は「徳兵衛」、酒名は「加茂の井」。

江戸時代、人々は通い徳利を持って酒蔵に酒を買いに行ってたそうですから各町内に造り酒屋が1件はあったそうです。
豊八氏は地主で米が沢山あった事から、村の酒屋として造り酒屋を行ったのではないかと伝えられています。

蔵は途中に清水甑谷から清水町大森に移転します。しかしこの地も度々水害に襲われ不安要素が多く、3代目が倒れてきた木に当たり死亡する事故が起きます。
それを目の前で見ていた4代目は「この地は良くない」と福井市内への移転を考えるようになります。



福を呼ぶ酒、福千歳は芳醇旨口のキレの良い日本酒
福千歳 田嶋酒造株式会社|商品

念願の福井市内への移転は、意外な経緯から実現します。

それは第2次世界大戦による企業整備令によって、主食の米を確保する目的から酒蔵の多くは統合させられる事になったのですが、その例に漏れずこの蔵も統合の対象となります。

多くの酒蔵にとって企業整備令というのは良くない出来事でした。しかし結果論で考えるとこの蔵は企業整備令があったことから現在、福井市内に蔵を構える事が出来たのかもしれません。

というのは福井市というのは災が多かった街で、昭和20年の福井空襲によって街が焼かれています。更に3年後の昭和23年6月に、震度7を設定するきっかけとなった福井地震が起き、復興しかけていた街が再び壊滅します。更に同年9月九頭竜川の堤防決壊によって更に被害を受けます。

空襲で焼けてしまった建物を再び建て直した後、早々に地震で失うことは、多くの会社は立ち直ることが出来ません。

福井市が最も不幸な時代、企業整備令によって進出しなかった事が結果的に体力の温存につなります。

そして念願の福井市内で酒蔵を再建すべく、昭和28年に福井市内の千歳町(現在は福井市足羽2丁目付近)に移転。この時住んでいた「千歳町」から現在の酒名「福千歳」が誕生します。

その後、熊谷組の社長熊谷 太三郎氏の紹介で足羽山の御清水が湧き出ている土地に出会います。
現在は街中になっていますが、当時は家一件もなかったという福井市桃園に酒蔵を建て今に至ります。



写真は釜場です。私が訪問した時期は今季の造りが終わっていて片付けられています。
福千歳 田嶋酒造株式会社|釜場

酒造りは能登杜氏が酒造季に蔵に来て行われます。
原料米は福井産の五百万石をメインに使用。あと越の雫、一部兵庫山田錦も用います。

蔵は昭和51年までは全量山廃で酒造りをしていたそうです。
というのは前杜氏の越前大野杜氏は山廃仕込しか知らなかったからです。

越前大野杜氏は速醸という技術を学ぶ機会がなかったそうで、この蔵では越前大野杜氏が酒造りをしていたため蔵元も山廃以外は知らなかったとか。

ある時、大手酒蔵の技師がこの蔵を訪れた際「あなたの蔵は全部山廃ですか!」と驚かれます。
そこで蔵元が「山廃の他にも造り方があるんですか?」質問をすると「速醸があるでしょう」という答えが返ってきます。
蔵元はそこで初めて「速醸」の存在を知ったそうです。

では「速醸やってみようか」と昭和51年に初めて速醸を試みます。


杉張りの麹室
福千歳 田嶋酒造株式会社|麹室

福千歳の目指す酒は「芳醇旨口でキレの良い酒」。
かつては全量山廃で仕込んでいた経緯から、山廃仕込を得意とし冷で飲んでも美味しく、燗酒にすると更に美味しくなる食中酒を造られています。

フクロウは幸福を呼ぶ鳥と言われ、酒名「福千歳」の福と一致する事からこの蔵のキャラクターに採用。「福を呼ぶ福千歳」というのがこの蔵のキャッチコピーです。


次期蔵元後継者の田嶋 雄二郎さん。今年農大を出たばかり。
福千歳 田嶋酒造株式会社|仕込み部屋

蔵には今年の春、東京農業大学の醸造科学科を卒業した7代目蔵元後継者の田嶋 雄二郎さんが酒造りに参加。
大学時代に研究を重ね試験醸造を続けてきたワイン酵母を用いて造る日本酒、「RICE WINE」という日本酒を蔵に戻ってきて早速醸造を開始。

福井にはコシヒカリという美味しい食米があるのだから、その食米で酒を造りたい。米を無駄にしたくないのでできるだけ削りたくない。
このような日本酒業界の外からの視線で造った酒が、ワイン酵母を用いて造った純米酒。原酒ですがアルコール度数はわずか12度。

蔵元のお薦めする飲み方はロックで炭酸で割ってアルコール度数を8度くらいで飲みます。
通常の日本酒だと8度まで水で薄めると苦味が出て味のバランスを崩します。しかしRICE WINEは従来の日本酒の枠の外に存在する酒。原酒よりも7〜9度位に薄めたほうがベスト。

炭酸の苦味とレモンのような酸味がミックスされ、グレープフルーツのカクテルのような爽やかな味わい。ブラインドで出されたら日本酒で有ることが解らないような酒です。従来の日本酒という感覚で飲む酒ではなくカクテルとして飲む酒です。

従来の地酒専門店の中には否定的な意見をされる方が多いそうですが、従来の日本酒の枠から離れた日本酒を探している方には面白い存在だと思いました。


槽場と貯蔵タンク
福千歳 田嶋酒造株式会社|槽場
槽(ふね)とその左に立つ方が6代目蔵元
福千歳 田嶋酒造株式会社|槽(ふね)


福千歳 田嶋酒造株式会社|記念撮影
訪問の証の記念撮影。

東京農業大学 醸造科学科をこの春卒業した次期蔵元後継者の田嶋 雄二郎さんが、最後の在学中に造った日本酒「Rice WINE」を試飲。
従来の日本酒とは全く異なる味わいに可能性を感じる吾郎でした。




商品の購入・質問は福千歳(ふくちとせ)|田嶋酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:0776-36-3385福千歳(ふくちとせ)醸造元田嶋酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。

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