2013年02月08日

杵の川(きのかわ)|株式会社杵の川

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 305蔵目

杵の川(きのかわ)|株式会社杵の川

長崎県諌早市土師野尾町17−4
蔵元のサイト:http://www.kinokawa.co.jp/


酒名:杵の川(きのかわ) ■創業:天保10年(1839年) ■杜氏:小値賀杜氏 ■仕込み水:弱軟水 ■訪問日:2013/2/8

代表銘柄
特撰 純米大吟醸丁子屋(ちょうじや)
特撰 杵の川 美禄天
金撰 純米 杵の川

株式会社杵の川は1980年に長崎県内にあった丁子屋酒造と黎明酒造が合併、雲仙酒造(島原市)、呉竹酒造(鹿島市)の営業権を引き継ぎ出来た蔵元です。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|外観

杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|外観
諫早の市街にあった黎明酒造が、良い環境を求めて昭和47年に現在の蔵が建つ場所に蔵を移転。

その後企業合併が行われ太陽酒造株式会社という社名となり、製造は現在の蔵で行いビン詰めは丁子屋酒造の設備で行うという形態でスタート。

そして平成14年に社名を杵の川酒造株式会社に改めます。

蔵は創業年を天保10年(1839年)と発表していますが、合併した際に最も歴史が長かった丁子屋酒造の創業年を採用した為。

写真の方が瀬頭信介蔵元。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|瀬頭信介蔵元
瀬頭蔵元は黎明酒造出身の蔵元です。

黎明酒造のルーツはかつて佐賀県に存在した「ウスユキ」という銘柄の酒を製造していた蔵元からの分家。
分家当初は、酒の小売業からスタートし後に酒造免許を所得し明治41年に酒造業に参入。

同じ「ウスユキ」の酒蔵からの分家に、佐賀県の東一、東長があり、信介蔵元のお父様の世代がいとこ同士。あと福岡の繁桝さんとも親戚との事。
酒蔵って親戚でつながっている蔵が多いのですが、いろんなところにつながっているのですね。

杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|純米大吟醸 丁子屋

杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|生原酒

杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|長崎マッコリ

蔵は古代史研究家の宮崎康平氏が設計した建物。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|宮崎康平氏設計の蔵
当初、四季醸造が出来るように考えて設計されたとのこと。

写真は釜場を含む原料米の初期処理を行う部屋。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|釜場
この時代に建てられた鉄筋の3〜4階建の酒蔵の多くは、最上階で原料米の前処理が行われ、その下のフロアで発酵が行われ、最後は1階で搾りを行う、という上から下にお酒が製造されていく蔵が多いのですが、杵の川は逆。

1階で原料処理が行われ、2階と3階で発酵が行われ、最上階で酒を搾るという下から上に酒が造られます。

写真は仕込み部屋。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|仕込み部屋

大吟醸酒は更に1フロア上のこちらのタンクで仕込みが行われています。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|大吟醸 仕込み部屋

写真は麹室です。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|麹室

酒造りに用いる米は、レイホウ、地元産山田錦など、長崎産の米が中心。
良い水が豊富に湧くことからこの地に移転してきたこともあって全量地下水を使用。道具の洗い物を含め、事務所で使用されている水全てが地下水との事。

米が収穫されてきた10月ごろからスタートし甑倒しが3月。
現在は約1500石の酒を製造されており長崎県では最大クラスの酒蔵。

製造される酒の9割が地元長崎で消費。
特に地元の飲食店との付き合いが多く、自社の位置づけを考えた時、地元の飲食店さんに喜んでもらうお酒を造るべきではないかと考え、地元の料理にあう食中酒を中心に製造されているとの事。

長崎では醤油の味が甘かったり、料理の味付けが濃い目だったりするので、そういった料理とより合う酒。昔はベッタリ甘かったそうですが今はさらっとした柔らかい甘みがある酒を意識し製造されているそうです。

長い圧搾機ですね。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|槽場

私が訪問した時は斗瓶を洗浄中でした。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|斗瓶

杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|斗瓶
首の札に記載されている年月は税務署の使用の申請をした時の年度。 貯蔵タンクと同様に斗瓶も税務署の検定をうける必要があるとか。

写真は昭和30年から40年代に使用されていた手動のビン詰め機。
杵の川(きのかわ) 株式会社杵の川|手動ビン詰機
このビン詰め機は、合併以前の黎明酒造が開発したサイフォンの原理を用いたビン詰め機。「黎明式ビン詰」という名称で全国の多くの酒蔵で使用されていたとの事。

筆者は写真に写っていませんが、珍しい道具を見て驚く吾郎でした。

また長崎の若手有志6社の蔵元が集まって、純醸会という会を結成。
この会では「長崎の酒とは」やさしい甘口の酒と定義されているそうで、やさしい甘口の純米酒を造る活動をされているとか。

いいですね。興味がわきます。長崎の純醸会は要チェックですよ。




商品の購入・質問は杵の川(きのかわ)|株式会社杵の川へお問い合せ下さい。
TEL:0957-22-5600杵の川醸造元株式会社杵の川
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。  

Posted by 佐野 吾郎 at 14:00TrackBack(0)長崎県の酒蔵巡り

2013年02月07日

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)|今里酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 303蔵目

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)|今里酒造株式会社

長崎県東彼杵郡波佐見町宿郷596
蔵元のサイト:http://www.64sake.com/


酒名:六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) ■創業:1772年頃 7代 ■杜氏:久留米杜氏 ■仕込み水:軟水 ■訪問日:2013/2/7

代表銘柄
六十餘洲 純米酒 山田錦
六十餘洲 金撰
六十餘洲 純米酒

磁器(波佐見焼)の産地、長崎県波佐見町。

筆者が住む大阪府枚方市には「くらわんか茶碗」と呼ばれるお椀があり、これらは波佐見町で焼かれて枚方まで運ばれてきたもの。
そんなご縁があってか波佐見町と枚方市は姉妹都市(市民交流都市)が結ばれているそうです。(今回の訪問で知りました)

そんな焼き物の里、波佐見町内に存在する唯一の酒蔵が六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)という名の酒を造る今里酒造株式会社です。 六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|外観

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|外観
今里酒造株式会社は今から約240年前の1772年頃(安永元年)に創業したといわれている現在で7代続く酒蔵です。(1772年という年は田沼意次が老中となった年。)

創業者は今里安助さんといい、詳しいことはわからないのですが、先代蔵元やその兄弟から聞いた話によると「学校に行くまでに通る土地は全て自分の家の土地であった」という事ですから、この地の庄屋(大地主)をされていた思われます。

地元の人達は、蔵元の事を「上酒屋」と呼び、2〜3件離れた隣に「下酒屋」と呼ばれる別の酒蔵があったそうです。(google mapを拡大してみると確かに「下酒屋」と記載された家屋が現れます。今は稼働していません)
かつては波佐見町内だけで4件の酒蔵が酒造りをしていたそうですが現在残っているのは今里酒造の一社のみ。

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|蔵の中
蔵は時代ごとに増築され一番古い建物で築200年以上。
国の登録有形文化財に指定されています。

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|蔵の中
歴史を感じる建物、天井の太い梁、並ぶ賞状の数々。
建物全体が非常に良く手入れされていて、綺麗を通り越し素敵と思うレベル。

筆者は300件を超える酒蔵を回って来ましたが、長い歴史を持つ建物をこんなに、綺麗に保たれている蔵は早々にありません。写真を撮るのは控えましたが応接室は婦人画報に出てくるような名家の応接室。素敵な時間を過ごすことが出来ました。

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|梁

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|かまど

写真は蔵のこだわりの商品、六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)  純米酒 六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|純米酒 山田錦
酒名、六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) は昭和9年の法人化の際に誕生した銘柄。

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) の意味ですが、かつて日本は64の州で出来ていたことから、日本全国を意味する言葉との事。
日本全国で愛される銘酒になってほしいとの思いから、この名を命名されたそうです。
六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|純米吟醸

原料米には地元波佐見町で契約栽培をしてもらっている山田錦、福岡の糸島産の山田錦、地元米のレイホウなどを使用。

以前は五島列島の小値賀(おじか)島から小値賀杜氏が酒造りに来ていたそうですが、現在は福岡の久留米杜氏が季節雇用で酒造りに来られているとの事。

毎年10月頃から造りが開始し、甑倒しは3月。年間で約1600石の酒を製造されています。この製造規模は長崎の酒蔵の中ではトップクラスの量との事。

写真は仕込み部屋。
六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|仕込み部屋

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|作業中の蔵人
私が訪問した時は、酒母を仕込みタンクに移す添えの作業が行われていました。

蔵はとても清潔に保たれており、いつ全国市場に名を轟かせる銘酒が生まれてきても不思議ではない環境の蔵だと感じました。

六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|槽場

訪問の証の記念撮影。
六十餘洲(ろくじゅうよしゅう) 今里酒造株式会社|記念撮影
六十餘洲 純米吟醸に興味を持つ吾郎。

長崎の酒ですが、長崎では料理に砂糖を用いて味付けをする事が多く、全体的に濃い目の味つけになる事から、それに合う酒となると少し甘口傾向になるとか。

その結果、長崎で造られる酒は全般的には少し甘口の傾向があるとの事ですが、今里酒造では味がしっかり乗った結果、少し甘く感じられる酒。
それでいて切れが良く、料理を楽しむための食中酒を目指して酒造りをされているそうです。

今の時点で特に長崎県から全国市場で名を馳せる日本酒は登場していません。
しかし、今後もし長崎から蔵が出てくるとした今里酒造である可能性が高いように思いました。
日本酒ファンの皆様、要注目の酒蔵です。




商品の購入・質問は六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)|今里酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:0956-85-2002六十餘洲醸造元今里酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。  

Posted by 佐野 吾郎 at 15:00TrackBack(0)長崎県の酒蔵巡り