2012年01月18日

陸奥八仙(むつはっせん)|八戸酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 235蔵目

陸奥八仙(むつはっせん)|八戸酒造株式会社

青森県八戸市大字湊町字本町9番地
酒名:陸奥八仙(むつはっせん)、陸奥男山、陸奥田心 ■創業:1740年代(元文年間)8代 ■杜氏:南部杜氏 ■仕込み水:中硬水 ■訪問日:2012/1/18

代表銘柄
陸奥八仙 特別純米
陸奥田心 純米吟醸
陸奥男山 金撰

青森県の第2の都市「八戸」。
南部地方の中心都市であり、江戸時代に八戸城の城下町として発展。
太平洋に面し大きな港があることから、現在は工業と漁業が盛んな街です。

イカの水揚げが日本一といわれる漁業の街に酒蔵が無いはずがありません。
かつては八戸市内だけでも6社の酒蔵があったそうで、現在は3社が酒造りを続けています。

その蔵の一つが日本酒ファンから注目されている陸奥八仙(むつはっせん)という名の日本酒を造る、八戸酒造株式会社です。
陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|外観
八戸酒造株式会社は安永4年(1775年)、駒井 庄三郎氏が創業した現在で8代続く酒蔵です。
庄三郎氏は滋賀県の琵琶湖の湖西に位置する、高島郡出身の高嶋商人との事。

滋賀県というと「近江商人」が有名ですが、その一方で「高島商人」と呼ばれている商人もいました。
江戸時代の初期、高島郡高島町出身の村井新七氏が岩手県の盛岡に移り「近江屋」という店を創業。それにより近江屋は高島郡より商人となることを志す若者の拠点となり、多くの高島商人が盛岡の地に集まります。

八戸酒造の創業者、駒井庄三郎氏も志を持ち盛岡に来た高島商人の一人だったのでしょう。
庄三郎氏は盛岡を離れ、剣吉という場所で糀屋おこした後、酒造業を開業したと言われています。

江戸時代の日本酒には、どぶろくのように濁った濁り酒と、現在の酒のように透明な日本酒の二種類があり、透明な酒はとても高級とされ人気があり、与えられる酒造株も異なっていたそうです。

恐らく近江商人や高島商人はお酒を透明にする技術を持っていたようで、私が今まで訪問してきた関東から東北の酒蔵の中で近江商人出身の蔵は沢山ありました。
透明な酒を造る事ができる技術力を背景に、人気の酒を造り商いを成功させていったのでしょう。

その後、蔵は明治時代、現在の八戸に蔵を移転します。
上の写真は大正4年〜13年に建てられた蔵の表玄関。
2011年に国の登録有形文化財に指定。
また青森県では初となる景観重要建造物にも指定されています。

かつて蔵の前の通りは、浜へ向かうメインストリートだったそうで商家などの蔵が建ち賑わっていたとの事。

新井田川から蔵の外観を撮影。
陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|港からの外観
江戸時代ではこの川を使って物資が運ばれていました。現在でいうと幹線道路沿いに蔵を構えていた事になります。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|商品
写真は八戸酒造が全国展開中の酒「陸奥八仙(むつはっせん)」。

八戸酒造で造られている酒は地元向けの「陸奥男山」、全国の地酒専門店へ限定流通しているこだわり銘柄「陸奥八仙」、そして青森の有機栽培米で醸す酒「陸奥田心(むつたごころ)の3種類。

この蔵は、第2時大戦時の企業整備令よって複数の酒蔵が結合。「組合」のような協同組織の状態が続いていたそうです。
しかし酒造りに対する理念などの違いから、今から14年前の1998年に、その組合から独立。
その際に新しいブランドとして誕生した酒が陸奥八仙です。

かつて何度も日本一の水揚げ高を誇った八戸港の地元の酒という事もあって、この蔵の酒は魚介類とよくあう食中酒が基本。

日本海側の秋田、新潟のような淡麗辛口とまでは行かないまでも、それに近い辛口の酒。
特に「陸奥八仙 特別純米 いさり火」は味のりの良い辛口の男酒。
イカのお刺身、カレイの煮付けなど魚と一緒に飲みたくなる酒。

陸奥八仙は酒問屋を通さず、蔵元が認めた全国の地酒専門店と直接取引をおこなう限定流通商品。
蔵の後継者である、駒井秀介さんが情熱をもって手がけている酒という事もあり、日本酒ファンの間で注目されている酒です。

現在では特定名称酒の割合が6割を超えたところ。
従来から続く地元向けの普通酒は「陸奥男山」の銘柄で製造されています。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|駒井秀介
写真の方は蔵元の後継者、駒井 秀介(ひでゆき)さん。
陸奥八仙の顔というべき存在。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|駒井伸介
こちらの方は、秀介さんの弟、駒井 伸介(のぶゆき)さん。
現在(2012年1月)29歳で、酒蔵の仕事に就いて今年で3年目。
いずれはこの蔵の酒造りの中核となる存在。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|精米機
写真は精米機。
特定名称酒など、こだわりの酒はこの精米機で自社精米されているとの事。

酒造りに使用する米は全量青森県産米。
酒造好適米では華想い、花吹雪を中心に使用。
むつほまれや、最近人気のまっしぐらといった米でも酒を造られています。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|洗米
写真は「ウッドソン」を呼ばれる、気泡を使って米を洗う洗米機。
最近ではこだわりの酒造りをされている蔵でよくみかける洗米機です。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|釜場
写真は釜場です。
蔵は大正時代に建てられた建物と、昭和42年に建てられた鉄筋コンクリート4階建ての建物で構成されています。
鉄筋コンクリートの建物は、もともとは第2の仕込蔵として建設された建物ですが、現在は原料処理が行われています。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|麹室 外観
写真は麹室。杉張りです。
2009年に麹室を作りなおしたばかりという事で、まだ新品のように綺麗。

杉張りを選んだ理由は、有機農産物加工酒類の認定を受けるため、との事。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|麹室

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|酒母
写真は酒母。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|仕込み部屋
写真は仕込み部屋です。
壁はレンガ造りで、大きな鉄筋が入っていますが大正時代に建てられた建物です。
鉄筋は当時イギリスから船で輸入してきたもの。

言われて見ると鉄筋に塗られているペンキの色が、日本の色合いというよりヨーロッパの色合いが感じられます。
蔵元にそう伝えたところ「ペンキは日本で売っているもので塗り替えています。」との返事。

外壁や麹室がレンガ作りの蔵は時々見かけますが、仕込みべやがレンガ作りは始めてです。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|槽場
写真は槽場。
私が訪問したときは、陸奥八仙の特別純米を搾っている最中でした。

陸奥八仙(むつはっせん) 八戸酒造株式会社|記念撮影
最後の訪問の証の記念撮影。
槽場にて酒の色と香りを確かめる吾郎。見事な出来栄えに驚きの表情を見せる吾郎でした。

同時に青森から現れた新進気鋭に大きな可能性を感じている吾郎でした。




商品の購入・質問は陸奥八仙(むつはっせん)|八戸酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:0178-33-1171陸奥八仙、陸奥男山、陸奥田心醸造元八戸酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。  

Posted by 佐野 吾郎 at 17:00TrackBack(0)青森県の酒蔵巡り