2011年09月29日

昇龍蓬莱 残草蓬莱|大矢孝酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 206蔵目

昇龍蓬莱 残草蓬莱|大矢孝酒造株式会社

神奈川県愛甲郡愛川町田代521
酒名:昇龍蓬莱(しょうりゅうほうらい)、残草蓬莱(ざるそうほうらい) ■創業:1830年(文政13年)8代 ■杜氏:蔵元杜氏(諸派) ■仕込み水:中硬水 ■訪問日:2011/9/29

代表銘柄
昇龍蓬莱 特別純米 雄町
昇龍蓬莱 純米吟醸 阿波山田錦
残草蓬莱 純米

神奈川県北部に位置する愛甲郡愛川町。
厚木市や相模原市のベットタウンとして開発され、町の中央には中津川が流れ西には丹沢山地が広がる自然を多く残す土地。

少し懐かしさを感じさせる山の麓の一角に日本酒ファン注目の新進気鋭の酒蔵があります。
昇龍蓬莱(しょうりゅうほうらい)、残草蓬莱(ざるそうほうらい)という名の酒を造る大矢孝酒造株式会社です。


写真は大矢孝酒造の入口。
蔵の入口に立つ大ケヤキの樹齢は400年以上あるとの事。
昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|外観
日本酒、昇龍蓬莱を造る大矢孝酒造は、文政13年(1830年)に大矢 源吾氏が創業した8代続く酒蔵です。

代々続く庄屋(あるいは大地主)の家に生まれた源吾氏は、小作人から得られる米が豊富にあった事から酒造業へ参入をされたと言われています。

蔵は小字残草(こあざざるそう)という土地にあった事から、地元の人々はこの蔵を「残草(ざるそう)」と呼んでいたそうです。
蔵の周囲は「大矢」という苗字の方が多い事もあって、今でも地元の人々は残草(ざるそう)と呼び続けているとの事。
社名が「大矢酒造」ではなく「大矢孝酒造」である事から、周囲に住む人の多くが大矢という苗字である事が伺えますね。

蔵の入口に立つ大ケヤキは、かつて蔵の祖先がこの地に屋敷を構えた際、建物の周囲に植えたものだそうです。
酒蔵としては8代ですが、家そのものはもっと古くから続き、約400年はこの地に住み続けているとの事。


写真はこの蔵に残る「酒造株」。
昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|酒造株
右の第一列の頭に「酒造株」と書かれているのが解ります。
江戸期に発行された酒造株が残る蔵は非常に少なく、なかなか見ることが出来ません。

写真は大矢孝酒造8代目蔵元、大矢 俊介さんです。
昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|大矢俊介蔵元杜氏
蔵元である大矢 俊介さん自らが杜氏となり、酒造りをされています。

好きな酒は純米酒。
純米酒を1年〜2年、あるいは3年くらい熟成させ少し温めて飲んでもらいたい。

酒を寝かせる事で味が円やかになり、温めて美味しい。
そんな酒をイメージして造られているとか。

蔵元の話によると大正時代以前、冷酒は日雇いの人々がカッと流しこむように飲み、燗酒は旦那衆の飲み方だったそうです。
なので冷酒は「かっ食らう」と言い、それに対し燗酒は嗜むと言ったそうです。

忙しい現在人は燗酒を嗜む余裕と時間が無くなりました。
だからこそ、かつての旦那衆のように、粋な燗酒文化を提案していきたい。
燗酒を嗜む事が格好良いという文化を広げていきたいと語られました。

写真は釜場、大きな釜が2つ見えます。
昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|釜場

写真は麹室。
昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|麹室の外観
昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|麹室の中


写真は仕込み蔵。
昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|仕込み部屋
現在は製造しているのは純米のみ。
昔ながらの建物の中、沢山の酒を造ることができないため、少量の酒を丁寧に醸しています。


写真は槽場、立派な圧搾機です。
昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|槽場


写真が貯蔵庫です。 昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|貯蔵庫
造られた酒は1年〜2年、長いものでは3年くらい熟成を経た後に出荷されます。

日本酒は一時は香りの華やかな酒がもてはやされる時代がありましたが、現在は香りは控えめで、醇口の食中酒が求められている傾向にあります。
昇龍蓬莱はしっかりとした醇口の酒を造られている事から日本酒ファンの間では注目の存在です。
神奈川の新進気鋭として今後が楽しみな蔵元です。

昇龍蓬莱 大矢孝酒造株式会社|記念撮影
訪問の証の記念撮影。
なかなか目にすることが出来ない江戸期の酒造株を発見し驚く吾郎でした。




商品の購入・質問は昇龍蓬莱 残草蓬莱|大矢孝酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:046-281-0028昇龍蓬莱、残草蓬莱醸造元大矢孝酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。   

Posted by 佐野 吾郎 at 15:15TrackBack(0)神奈川県の酒蔵巡り

2011年09月29日

相模灘|久保田酒造株式会社

新進気鋭 酒蔵訪問の旅 205蔵目

相模灘(さがみなだ)|久保田酒造株式会社

神奈川県相模原市緑区根小屋702
酒名:相模灘(さがみなだ) ■創業:1844年(弘化元年) ■杜氏:蔵元杜氏
■仕込み水:中硬水 ■訪問日:2011/9/29

代表銘柄
相模灘 特別純米
相模灘 純米吟醸 雄町
相模灘 純米吟醸 山田錦

神奈川県北部にある政令指定都市、相模原。
神奈川県内では横浜市、川崎市についで3番目に人口が多い都市。

都会的なイメージを持たれる人が多い神奈川県ですが、相模市街から車を20分も走らせると山々が現れます。
その山道を進むと、神奈川県とは思えないようなロケーションの中に存在する酒蔵があります。
今、日本酒ファンに注目されている酒、相模灘を造る久保田酒造です。

相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|外観

相模灘を造る久保田酒造株式会社は、弘化元年(1844年)に久保田 惣右衛門氏によって創業された酒蔵です。

惣右衛門氏は、現在蔵がある場所から相模川を下流に行った依知というところで、生糸業を営む商家に生まれました。
商売が繁盛していたのでしょう。生糸業以外にも醤油や味噌の醸造など手広く商いをされていて、1844年に現在蔵が建つ土地にて酒造業を開始されます。

当時は一箇所で味噌、醤油、酒を造ってたのではなく、それぞれの蔵は異なる場所にあり近江商人のように番頭に任せていたようです。

久保田酒造は番頭に経営を任せ、蔵のオーナーは別の場所に住み別の仕事をされる、という状態が長く続きます。次第に番頭が社長化しオーナーは蔵に土地・家屋を貸すという地主のような存在になります。

相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|外観

その久保田酒造に変化が起きたのは1996年の事。
杜氏の経営者が亡くなり、酒蔵をどうするべきかオーナー一族の会議が行われました。

一族それぞれが仕事に就いておられ、その仕事を簡単に止め酒蔵を継ぐことが出来ません。
酒造業の廃業が決まりかけようとしていた時。
相模の最後の酒蔵が無くなる事がとても残念だと考えた末っ子の久保田博さんがサラリーマンを止め、酒蔵を継ぐことを決意されます。

写真の方は、相模灘で杜氏を勤める久保田晃さん。 相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|久保田晃杜氏
久保田晃さんは酒蔵とは全く関係ないサラリーマン家庭に生まれ、小学4年生の時にお父様の仕事の関係で関西に引越されます。

京都の大学に入った18歳の時、上記のオーナー会議にてお父様の久保田博さんが酒蔵を継ぐことを決意されます。
それによって大学卒業後24の時に、久保田酒造に入社し酒造りを始めます。
現在は久保田酒造の杜氏を勤められ、相模灘の顔というべき存在。

久保田酒造の代表銘柄が相模灘(さがみなだ)
相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|商品

晃さんに話を伺うと、神奈川県の地酒の特徴は「トラディショナルな酒」が多いとの事。
首都圏に位置し、情報も多く消費者に近い地域でありながら、モダンな方向に走ったり、逆に極端にクラシックに回帰したり。 そういう事を行う蔵が無く、7号や9号酵母を用い基本に忠実な造りをしているスタンダードな酒蔵が多いそうです。


写真は釜場とその天井です。私が訪問した時期はまだ造りの準備中でした。
相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|釜場

何故、神奈川県にはトラディショナルな酒が多いのでしょうか?
晃さんの話によると、各蔵元のキャラによるものが大きいとの事。

神奈川県には大手の酒蔵が存在せず小さな酒蔵ばかりであり、それぞれの蔵元が自分が好きな酒を造られている傾向が強く「しっかり料理とあわせて飲み続けられる酒」を好む蔵元が多いとの事。

また同時に神奈川の水は中硬水で発酵力が強く、灘の男酒のような骨格が強く日本酒の真ん中を行くような酒が造りやすいそうです。
久保田晃さん自信も華やかなタイプのお酒よりも落ち着いて飲める食中酒が好きだそうで、そのような文化背景と水の特徴から、トラディショナルな酒を造る蔵が多いとの事です。

確かに以前、私が相模灘を試飲した際、派手ではなくとてもスタンダードな酒に驚いた記憶があります。

相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|仕込み部屋
写真は2011年の9月に完成したばかりの仕込み蔵。
私が訪問した時点では「日本で最新の仕込蔵」との事です。

蔵を引き継ぐことを決めて、脱サラし酒蔵経営を開始した久保田博さんは引退し、現在は晃さんが杜氏を務め、弟の久保田徹さんとともに酒蔵を切り盛りされています。

次世代蔵元の一角である相模灘
個性を出そうとする酒が多い中、これだけトラディショナルな酒だと、逆にとても存在感があります。
2011年に仕込蔵を新築された事から、今後はますます真剣な酒造りに取り組む姿勢が伺えます。
これからの活躍が注目の蔵元です。

相模灘(さがみなだ) 久保田酒造株式会社|記念撮影
訪問の証の記念撮影は、完成したばかりでまだ電気が来ていない仕込み部屋にて撮影。
空調完備の真新しい蔵に驚く吾郎でした。




商品の購入・質問は相模灘|久保田酒造株式会社へお問い合せ下さい。
TEL:042-784-0045相模灘醸造元久保田酒造株式会社
ここで書かれているデーターは筆者が訪問した時点の情報となります。 しっかり料理とあわせて飲み続けられる酒を造っている蔵が多い。   

Posted by 佐野 吾郎 at 12:00TrackBack(0)神奈川県の酒蔵巡り